【初心者向け】Difyとは?無料で始めるAIアプリ開発プラットフォームを徹底解説!GPTsとの違いも紹介

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1. はじめに:なぜ今、Difyが注目されているの?

 最近、ChatGPTやClaudeのような「大規模言語モデル(LLM)」を使ったAIチャットボットが、私たちの身近な存在になりましたね。その便利さに驚いた方も多いのではないでしょうか。

 しかし、これらのAIを「仕事で本格的に使いたい」「特定の目的に合わせたAIアプリを開発して、チームやお客様に提供したい」と考えたとき、いくつかの壁にぶつかることがあります。

  • プロンプト(AIへの指示)の共有が難しい:人によって指示の出し方が違い、同じ品質でAIを使いこなせない。
  • カスタマイズの限界:社内データなど、特定の情報に基づいて回答させたいけれど、自由なカスタマイズが難しい。
  • コスト管理の難しさ:利用者が増えると、どれくらいの費用がかかるのか分かりにくい。
  • 特定のAIモデルへの依存:特定の企業のAIしか使えず、他の選択肢を試せない。

 OpenAI社が提供する「GPTs」は、ChatGPTの有料プラン(Plusなど)を使っている人なら、プログラミング不要(ノーコード)で、ある程度カスタマイズしたチャットボットを作って公開できる便利な機能です。しかし、「もう少し、ここがこうだったら良いのに…」と感じる場面も少なくありません。

 そんな中、「GPTsよりもっと高機能かも?」「GPTsの上位互換?」と話題になり、急速に利用者を増やしているのが、今回ご紹介する「Dify(ディファイ)」というプラットフォームです。

 Difyは、先ほど挙げたような課題を解決し、プログラミングの知識があまりなくても、本格的なAIアプリケーションを開発し、運用することを目指せるツールです。

この記事では、

  • Difyって、いったい何ができるツールなの?
  • なぜ「GPTsの上位互換」と言われるほど注目されているの?
  • どうすれば「無料」で使い始められるの?
  • 具体的にどんなAIアプリが作れるの?

 といった疑問に、初心者の方にも分かりやすく、徹底的に解説していきます。この記事を読めば、あなたもDifyを使ってAIアプリ開発を始める第一歩を踏み出せるはずです。

2. Difyとは? その正体と基本的な考え方

 Dify(ディファイ)とは、一言でいうと「オープンソースのLLMアプリケーション開発・運用プラットフォーム」です。名前は「Define(定義する)+ Modify(修正する)」という言葉から来ています。

 なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、要するに「AIを使った便利なアプリ(AIアプリケーション)を、専門家でなくても、もっと簡単に作って、実際に使えるようにするための土台(プラットフォーム)」と考えてください。

 Difyが目指しているのは、AIアプリを作るために必要な機能(例えば、AIモデルとの連携、データの管理、ユーザーとのやり取りなど)と、作ったアプリを安定して動かし続けるための機能(利用状況の確認、改善など)を、まとめて提供することです。これにより、プログラマーだけでなく、様々な立場の人がAIアプリ開発に参加できるようになります。

 オープンソースとは? ソフトウェアの設計図(ソースコード)がインターネット上で公開されていて、誰でも自由に見たり、改良したり、再配布したりできるソフトウェアのことです。多くの開発者が協力して改善していくため、進化が速く、透明性が高いのが特徴です。Difyもオープンソースなので、世界中の開発者によって日々進化しています。

 Difyは、単なる「道具箱」ではなく、実際に多くの人が使う「本番環境で使えるレベルのAIアプリを作るための、しっかりとした足場」となることを目指しています。特に、OpenAI社の「Assistants API」や「GPTs」のような機能を、特定の企業に縛られずに利用したい場合の、有力な選択肢として注目されています。

 2023年5月に正式に登場して以来、Difyは驚くほどのスピードで成長しています。公開後わずか36時間で1,500以上のアプリが作られ、現在では18万人以上の開発者と多くのユーザーに利用されています。GitHub(ギットハブ:ソフトウェア開発プロジェクトのための共有ウェブサービス)での注目度(スター数)も非常に高く、様々な技術系メディアやイベントで有望なスタートアップとして紹介されるなど、その革新性が高く評価されています。

3. 「GPTsの上位互換」と言われる理由:Difyのすごいところは?

 DifyがGPTsと比べて「すごい!」「もっとできることが多い!」と言われるのには、いくつかの理由があります。初心者の方にも分かりやすく、Difyの主な強みを見ていきましょう。

(1) 使えるAIモデルの種類が圧倒的に多い!【モデルの柔軟性】

 GPTsは基本的にOpenAI社のAIモデル(GPT-4など)しか使えません。一方、Difyは非常に多くの種類のAIモデル(LLM)に対応しています。

  • 有名なAI: OpenAI (GPTシリーズ)、Anthropic (Claudeシリーズ)、Google (Geminiシリーズ) など
  • その他の選択肢: Cohere, Mistral AI, GroqCloud など
  • 自分で用意するAI: Llama, Ollama など、自分のコンピュータやサーバーで動かせるオープンソースモデル

 これだけ多くの選択肢があると、「この作業には、速くて安いAIを使おう」「こっちの複雑な作業には、高性能なAIを使おう」といったように、目的に合わせて最適なAIを選んだり、組み合わせたりできます。特定の会社のAIに縛られる心配もありません。

 使いたいAIモデルを追加するのも簡単です。設定画面で、利用したいAIサービスの「APIキー(エーピーアイキー)」を入力するだけです。(※APIキーとは、特定のサービスを利用するためのパスワードのようなものです。各AIサービスのサイトで取得できます。)

(2) 会社の資料やWebサイトの情報をAIに教え込める!【高度なRAG機能】

 AIモデルは、学習した時点までの情報しか知りません。そのため、「会社の最新のルールについて教えて」とか「このPDFファイルの内容を要約して」といった質問には、そのままでは答えられません。

 そこで使われるのが「RAG(ラグ:Retrieval-Augmented Generation)」という技術です。これは、外部の資料(PDF、Word、Webページなど)から関連する情報を探し出し、その情報をもとにAIが回答を生成する仕組みです。

 DifyのRAG機能は非常に強力で、使いやすいのが特徴です。

  • 様々なファイル形式に対応: PDF、Word、Excel(CSV)、PowerPoint、テキストファイルなどをアップロードするだけ。
  • WebサイトやNotionの情報も: 指定したWebページやNotionのページの内容を自動で取り込み、最新情報に追従させることも可能。
  • 高度な検索: ただ情報を探すだけでなく、「この部分を特に重要視して探して」といった、より賢い探し方もできます。

 これにより、「社内マニュアルに基づいて質問に答えるチャットボット」「アップロードしたPDFの内容について質問できるシステム」などを、高い精度で作ることができます。Difyは、このRAG機能においてOpenAIのAssistants APIよりも優れている点があると主張しています。

(3) プログラミング不要!見た目でAIの動きを設計できる【ワークフロー機能】

 Difyの「Orchestration Studio(オーケストレーション・スタジオ)」という機能を使うと、まるで図を描くように、AIの複雑な処理の流れ(ワークフロー)を設計できます。

  • ドラッグ&ドロップで簡単操作: 「AIに文章を考えてもらう」「資料を探す」「条件によって処理を変える」「外部のサービスと連携する」といった様々な機能の「ブロック(ノード)」を、画面上で線でつなげていくだけ。
  • コーディング不要: 基本的にプログラミングのコードを書く必要はありません。

 例えば、

  • 「ユーザーからの質問が簡単なら、速いAIで回答。複雑なら、高性能なAIで回答する」
  • 「まず社内資料を探し、見つからなければWebで検索して回答する」
  • 「入力された情報をもとにメールの下書きを作り、上司に確認してもらう」

といった、複数のステップからなる複雑な処理も、見た目で分かりやすく設計し、自動化できます。対話型の「Chatflow」と、一連の自動処理型の「Workflow」の2種類があります。

(4) 作ったAIアプリの状況を確認・改善できる!【LLMOps機能】

 AIアプリは作って終わりではありません。実際に使ってもらいながら、うまく動いているかを確認し、より良く改善していくことが大切です。これを「LLMOps(エルエルエムオプス)」と呼びます。

 Difyには、このLLMOpsのための機能が組み込まれています。

  • 利用状況の記録(ログ): ユーザーがどんな質問をしたか、AIがどう答えたか、などを記録。
  • 問題点の分析: うまく答えられなかった質問などを分析し、改善点を見つける。
  • 継続的な改善: 分析結果をもとに、AIへの指示(プロンプト)や、読み込ませた資料(ナレッジベース)を修正していく。

 これらの機能により、作ったAIアプリを安定して運用し、継続的に賢くしていくことができます。これは、GPTsのような単体のツールにはない、本格的なAIアプリ運用に欠かせない要素です。

(5) どこで動かすか選べる!【デプロイメントの柔軟性】

 Difyはオープンソースなので、そのプログラム(ソースコード)はGitHubで公開されています。そのため、Difyを使う方法は2つあります。

  1. Dify Cloud: Difyが提供するクラウドサービスを使う(手軽)。
  2. セルフホスト: 自分のコンピュータや会社のサーバーにDifyをインストールして使う(自由度が高い)。

 セルフホスト版を使えば、データを自分たちの管理下に置けるため、セキュリティを特に重視したい企業にとっては大きなメリットです。Docker(ドッカー)という技術を使えば、比較的簡単にセットアップできます。(※ただし、サーバーの準備や基本的な知識は必要です。)

(6) 機能を追加・拡張できる!【プラグインシステム】

 Difyは「プラグイン」という仕組みを使って、様々な機能を追加したり、外部のサービスと連携したりできます。

  • モデルの追加: 新しいAIモデルをプラグインとして簡単に追加。
  • ツールの連携: 画像生成AI、データ分析ツール、Web検索、カレンダー連携など、様々なツールと連携可能。
  • 自作も可能: 自分でプラグインを作って、Difyの機能を拡張することもできます。

 これにより、単なるチャットボットにとどまらず、より多機能で便利なAIアプリを作ることができます。

(7) 分かりやすい料金体系【費用】

 Dify自体の利用は、クラウド版の無料プランや、セルフホスト版(無料のオープンソース)から始めることができます。

 実際に費用がかかるのは、主に利用するAIモデル(GPT-4やClaudeなど)のAPI利用料です。これは、基本的に「使った分だけ支払う」従量課金制です。

 GPTsを作成するにはChatGPTの有料プラン(月額固定)への加入が必要ですが、DifyならAIの利用量が少なければ、トータルの費用を抑えられる可能性があります。

 これらの点から、DifyはGPTsの手軽さに加えて、より多くのAIモデル選択肢、高度なデータ連携(RAG)、柔軟なワークフロー設計、本格的な運用機能、そしてオープンソースであることによる自由度の高さを提供しています。これが「GPTsの上位互換」と言われる理由です。

4. DifyでどんなAIアプリが作れるの? 具体的な活用例

 Difyの強力な機能を使えば、本当に様々なAIアプリケーションを開発できます。いくつか代表的な例を見てみましょう。

基本的な活用例:

  • 賢いチャットボット・会話アシスタント:

    • お客様からの問い合わせに自動で答えるカスタマーサポート
    • 社内の手続きや情報を教えてくれるヘルプデスク
    • 特定のテーマについて対話できる情報提供ボット
  • 社内ドキュメントの検索・質問応答システム:

    • 大量の社内マニュアルや規定の中から、関連する情報を探し出して質問に答える。(まるで「社内版ChatGPT」)
    • アップロードしたPDFやWord文書の内容について質問できる「ChatPDF」のような機能。
  • 文章作成の自動化・サポート:

    • ブログ記事やメールの下書き作成
    • 会議の議事録の要約
    • 外国語への翻訳
    • 広告コピーのアイデア出し
  • 業務の自動化・効率化:

    • 定型的なレポート作成の自動化
    • Webサイトから情報を収集・整理するリサーチ業務の支援
    • 複数のステップが必要な業務プロセス(例:問い合わせ内容に応じて担当者を振り分ける)の自動化

さらに具体的な応用例:

  • Notionと連携して、メモの内容をAIが整理・要約してくれるアシスタント
  • Midjourney(画像生成AI)と連携して、作りたい画像の指示(プロンプト)を考えるのを手伝ってくれるツール
  • Web検索ツールと連携して、最新情報を含めて回答してくれるAI
  • Slack(ビジネスチャット)と連携して、論文執筆をサポートしてくれるボット
  • ポッドキャストの音声を文字起こしし、要約を作成するツール
  • Zapier(様々なWebサービスを連携させるツール)と連携して、より複雑な自動化を実現

 このように、Difyは単なるチャットボット作成ツールではなく、様々なAI機能、外部サービス、そして独自のデータを組み合わせることで、現実世界の複雑な課題を解決したり、面倒な作業を自動化したりできる、強力なプラットフォームなのです。

5. Difyを「無料」で始める方法:ステップ・バイ・ステップ解説

Difyを試してみたい!と思ったら、主に2つの方法があり、どちらも無料で始めることができます。

方法1:Dify Cloud を使う(一番かんたん!)

 特別な準備は不要で、すぐにDifyを試せるのが、Difyが提供しているクラウドサービス「Dify Cloud」を利用する方法です。

  1. Dify公式サイトにアクセス: まずは Dify のウェブサイトを開きます。
  2. サインアップ: 画面にある「始める」や「Get Started」といったボタンをクリックし、Googleアカウントやメールアドレスを使って登録します。
  3. すぐに開始: 登録が完了すると、すぐにAIアプリ開発画面にアクセスできます。

Dify Cloudには「Sandbox(サンドボックス)」という無料プランが用意されています。このプランでは、Difyの基本的な機能を試すことができ、一定量の無料利用枠も含まれています(例:OpenAIモデルで200回まで呼び出し無料など)。ただし、作れるアプリの数や、同時に使える人数、アップロードできる資料の量などには制限があります。

 「まずは手軽にDifyを触ってみたい」「どんな画面なのか見てみたい」という方には、このDify Cloudがおすすめです。

方法2:セルフホスト版 (Community Edition) を使う(自由度が高い!)

 Difyはオープンソースなので、プログラム(ソースコード)を自分のパソコンやサーバーにダウンロードしてきて、自分で動かすこともできます。これを「セルフホスト」と言います。

  1. コードを入手: DifyのGitHubリポジトリからソースコードを入手します。
  2. 環境準備: Docker(ドッカー)とDocker Compose(ドッカーコンポーズ)というツールを、Difyを動かすコンピュータ(PCやサーバー)にインストールします。(※これらは、ソフトウェアを簡単に動かすための仮想化技術です。)
  3. セットアップ: Difyが提供している設定ファイル(Docker Composeファイル)を使って、コマンドを実行すると、Difyが起動します。Dockerに慣れている方なら比較的簡単です。
  4. ローカルでアクセス: セットアップが完了すると、自分のコンピュータ上でDifyの画面を開けるようになります。

 セルフホスト版のDify自体は無料で利用できます。データを外部に出さずに自分たちで管理できるため、セキュリティを重視する場合や、Difyの機能を制限なく試したい場合に最適です。

 ただし、以下の点に注意が必要です。

  • サーバーやPCの準備が必要: Difyを動かすためのコンピュータ環境が必要です。
  • 基本的な技術知識: Dockerなどの基本的な知識があるとスムーズです。
  • AIモデルの利用料は別途必要: Difyのプラットフォームは無料ですが、実際にAIモデル(GPT-4など)を使うためのAPI利用料は、各AIサービスの提供元に別途支払う必要があります。

 「データの管理を自分たちで行いたい」「機能制限なしでじっくり試したい」という方には、セルフホスト版がおすすめです。

 どちらの方法を選んでも、Difyの強力な機能を体験し、AIアプリ開発の世界に足を踏み入れることができます。

6. 簡単なAIチャットボットを実際に作ってみよう(チュートリアル)

 ここでは、一番手軽な「Dify Cloud」を使って、簡単なAIチャットボットを作る基本的な流れを、ステップごとに見ていきましょう。

  1. Difyにログイン: まずはDify Cloudにログインします。E-mailで登録すると、記入したメールアドレス宛に、認証コードが送られてくるので、それを入力するとDifyのスタジオの画面に入れます。
  2. アプリ作成開始: スタジオ画面にある「アプリを作成する」の下にある「最初から作成」のようなボタンをクリック。
  3. アプリの種類を選択: 「チャットボット」を選択。
  4. アプリの名前とアイコンを設定:名前を好きな名前(ここでは、仮に「犬太郎」と入力)、アイコンを設定。
  5. チャットボットの説明:作成したチャットボット簡単な説明を入力(ここでは、「親切な案内犬」と記入)後に「作成する」ボタンをクリック
  6. AIモデルの設定:右上にある「プラグイン」→「マーケットプレイスを探索する」→「モデル」の順にクリック
    どのAIモデル(LLM)を使うかを選び、「インストール」をクリック。インストールされたモデルを選択した状態で「セットアップ」をクリックし、そのAIを使うための「APIキー」を設定します。(APIキーは、事前に各AIサービスのサイトで取得しておきます。)
  7. AIへの指示を設計(プロンプト設定): ここがAIアプリ作りのキモとなる部分です。「オーケストレーション」や「プロンプト」といった画面で設定します。

    • システムプロンプト: AIにどんな役割を演じてほしいか、どんな口調で話してほしいかなどを指示します。 例:「君は優秀なAI機能を搭載した犬太郎です。質問に対して、親切に、丁寧に、分かり易く答えること。チャットの語尾に「ワン」を付け加えること。
    • 変数: ユーザーが入力した質問({{query}}のように書かれることが多い)などの情報を使って、AIへの指示を組み立てます。
    • (資料を使う場合)ナレッジ: 「知識(Knowledge)」や「ナレッジベース」といった設定で、事前にアップロードしておいた資料(PDFなど)をAIが参照するように設定します。システムプロンプトで「提供された資料を参考にして回答してください」といった指示を加えます。
  8. テストと調整(プレイグラウンド): 画面の右側などにある「プレビュー」や「デバッグ」といった機能(プレイグラウンド)を使って、実際に質問を入力し、AIがどのように答えるかを確認します。

    • 思った通りの答えが返ってこなければ、システムプロンプトの内容や、AIモデルの種類などを調整し、再度テストします。これを繰り返して、理想の動きに近づけていきます。


  9. アプリの公開: うまく動くようになったら、「公開する」ボタンをクリックします。
  10. アプリの利用: 公開されると、そのチャットボットにアクセスするための専用URLが発行されます。このURLを共有すれば、他の人も使えるようになります。(※Dify Cloudの場合、URLを知っていれば誰でもアクセスできる設定になりますので注意しましょう。)

 このように、Difyを使えば、プログラミングのコードを書かなくても、画面上で設定をしていくだけで、AIへの指示、使うAIモデルの選択、資料の読み込み、そして動作テストまでを行い、すぐに使えるAIアプリケーションとして公開できます。

7. Difyをさらに活用するためのヒントと今後の展望

 Difyには、基本機能以外にも、さらに便利に使うためのヒントや、将来の可能性がたくさんあります。

さらにDifyを活用するためのヒント

  • ワークフローを使いこなす: 単純な応答だけでなく、複数のステップが必要な業務(例:メール作成→承認依頼→送信)を自動化したい場合は、「Workflow」や「Chatflow」の機能を積極的に活用しましょう。様々なブロック(ノード)を組み合わせることで、できることの幅が大きく広がります。
  • テンプレートから始める: Difyには、様々な用途に合わせた高品質なアプリの「テンプレート(ひな形)」が用意されています。「ゼロから作るのは難しそう…」と感じたら、まずはテンプレートをコピーして、それを自分なりに改造してみるのがおすすめです。
  • AIモデルを比較してみる: Difyの強みである「多くのAIモデルが使える」点を活かしましょう。同じ質問を、いくつかの異なるAIモデル(例:GPT-4 vs Claude vs Gemini)に投げかけてみて、回答の質、速さ、コストなどを比較検討すると、目的に合った最適なAIが見つかります。
  • 運用状況を見て改善する (LLMOps): 公開したアプリがどのように使われているか、定期的にログを確認しましょう。ユーザーがどんな質問をしているか、AIがうまく答えられているかなどをチェックし、改善点を見つけたら、AIへの指示(システムプロンプト)や読み込ませる資料(ナレッジベース)を更新していくことが、アプリをより良く育てるコツです。
  • プラグインを探してみる: 「こんな機能を追加したいな」と思ったら、プラグインマーケットプレイスを探してみましょう。画像生成、データ分析、外部サービス連携など、便利なプラグインが見つかるかもしれません。自分で作ることも可能です。

Difyのこれから(今後の展望)

Difyは非常に活発に開発が進められており、ほぼ毎週のように新しいバージョンがリリースされ、進化を続けています。今後は、

  • プラグインの種類がさらに増える: より多くのツールやサービスと連携できるようになるでしょう。
  • エージェント機能の強化: AIが自分で考えて、複数のステップを実行するような、より自律的な動き(エージェント機能)が強化されていくと考えられます。
  • マルチモーダル対応: テキストだけでなく、画像や音声なども扱える機能が強化されていく可能性があります。

 これらの進化により、Difyで作れるAIアプリの可能性は、今後ますます広がっていくことが期待されます。

Difyを使う上での考慮事項

  • 比較的新しいツール: Difyは2023年に登場した比較的新しいプラットフォームです。急速な進化は魅力ですが、機能や使い方が大きく変わる可能性もあります。
  • 学習が必要な部分も: 基本的な操作は簡単ですが、複雑なワークフローや高度な機能(エージェントなど)を使いこなすには、ある程度の学習や試行錯誤が必要です。
  • AIモデルの利用料: Dify自体は無料で始められますが、実際にAIモデルを使うための費用(API利用料)は別途かかることを忘れないようにしましょう。

8. まとめ:Difyで広がる、あなたのAI活用の可能性

 Difyは、

  • オープンソースであることによる透明性と自由度の高さ
  • 豊富なAIモデル(LLM)を選べる柔軟性
  • 自社データなどを活用できる強力なRAG機能
  • プログラミング不要でAIの動きを設計できるワークフロー機能
  • 作ったアプリを運用・改善するためのLLMOps機能
  • クラウドでも自社サーバーでも動かせる柔軟な設置方法
  • プラグインによる高い拡張性

といった、多くの優れた特徴を持っています。

 これにより、これまでChatGPTのGPTsや、単体のAIモデルだけでは難しかった、

  • より複雑な処理を行うAI
  • 会社のデータに基づいた回答をするAI
  • 複数のAIや外部サービスと連携するAI
  • 利用状況を見ながら改善していけるAI

といった、本格的なAIアプリケーションの開発を、より多くの人が実現できるようになります。

 特に、プログラミングの経験が少ない人でも、見た目で直感的にAIアプリを定義し、修正していけるユーザーフレンドリーな設計は、AI活用のハードルを大きく下げます。開発者だけでなく、企画担当者、AIに興味がある人、そして技術に詳しくないビジネスパーソンまで、幅広い人々が生成AIの力を引き出し、活用できる可能性を秘めています。

 「GPTsの上位互換」とも呼ばれ、世界中で急速にコミュニティが拡大しているDify。

 まずは、一番手軽な「Dify Cloud」の無料プランや、自由度の高い「セルフホスト版」の無料Community Editionを活用して、そのパワフルな機能をぜひ一度体験してみてください。

 きっと、あなたの「AIを使ってこんなことをしてみたい!」というアイデアを実現するための、新たな可能性が見えてくるはずです。

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