Abacus.AI ChatLLM とは? 高コスパな統合AIアシスタント

AI
この記事は約9分で読めます。

はじめに

 Abacus.AI のChatLLM は、個人やチーム向けに設計された多機能AIアシスタントです。チャットだけでなく、コーディング支援、画像・動画生成、ファイル分析など、幅広い機能を一つのプラットフォームで提供します。

 この記事では、多機能AIアシスタント「Abacus.AI ChatLLM 」の主要な機能と、その具体的な活用例について分かりやすく解説します。

驚きのコストパフォーマンス

 最大の特徴の一つが価格設定です。Abacus.AI のChatLLMは月額10ドル/ユーザーで利用可能であり 、これは多くの主要なAIチャットサービスの有料プラン(例:ChatGPT Plusの月額20ドル やClaude Proの月額20ドル )と比較して安価な設定となっています。  

 利用にあたっては、「Compute Points」という独自のクレジットシステムが採用されており、ユーザーには毎月200万ポイントが付与されます 。Abacus.AIの説明によると、このポイント数は目安として、高性能なAIモデル(GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetなど)を添付ファイルなしで利用する場合に数千回のメッセージ送信、または典型的には約500枚の画像生成に相当する量とされています 。ただし、モデルごとの正確な消費ポイントレートは公開されておらず、実際の利用可能量は選択するモデルやタスクの複雑さ、添付ファイルの有無などによって変動する点に注意が必要です 。  

 以上の事を踏まえると、この価格で多様な機能が利用できるため、他のAIツールのサブスクリプションを一本化できる可能性も秘めています。

主要機能と活用法

多様な最新AIモデルへのアクセスと「Route LLM」による自動選択

 ChatLLM では、単一のAIモデルだけでなく、以下のような様々な最先端の大規模言語モデル(LLM)にアクセスできます。

  • GPTシリーズ (例: GPT-4o, GPT-4.1)
  • Claudeシリーズ (例: Claude 3.5 Sonnet, Claude 3.7 Sonnet)
  • Geminiシリーズ (例: Gemini 2.5 Pro/2.5)
  • Llamaシリーズ (例: Llama 4 Maverick)
  • Grokシリーズ (例: Grok-3)
  • DeepSeekシリーズ (例: DeepSeek R1, V3.1)
  • その他 (Abacus独自モデル、Perplexity Pro、Qwenなど) (利用可能なモデルは随時更新されます)

 ユーザーは特定のタスクに合わせて自分でモデルを選択することもできますが、「Route LLM」 というスマートルーティング機能を使うのが便利です。Route LLMは、ユーザーの指示(プロンプト)の内容や目的に応じて、利用可能なモデルの中から最適なものを自動的に選択し、応答を生成します。

【実例:Route LLMによる自動選択】

  • ユーザー指示: 「新製品のキャッチコピー案を10個考えて。それを使って簡単なWebサイトのHTMLコードも生成してほしい。」
  • Route LLMの動き(想定):
    キャッチコピー考案(創造性が求められるタスク)→ GPT-4oやClaude 3.7 Sonnetなど、創造性の高いモデルを選択。実際の結果は、 GPT-4.1が選択されました。

             作成されたキャッチコピー案は以下の通り。

  • HTMLコード生成(コーディングタスク) GPT-4.1のままで処理、処理が終わった後で、GPT-4o、Claude sonnet 3.7、GPT-4o Miniのいずれかを選択して再生成が可能
    作成されたコードは以下の通り。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>新製品キャッチコピー集</title>
<style>
body {
font-family: 'Segoe UI', 'ヒラギノ角ゴ ProN', 'Meiryo', sans-serif;
background: #f7f7fa;
color: #222;
margin: 0;
padding: 0;
}
header {
background: #4f8ef7;
color: #fff;
padding: 2rem 1rem;
text-align: center;
}
main {
max-width: 600px;
margin: 2rem auto;
background: #fff;
border-radius: 8px;
box-shadow: 0 2px 8px rgba(0,0,0,0.07);
padding: 2rem;
}
h1 {
margin: 0 0 1rem 0;
font-size: 2rem;
}
ul {
list-style: none;
padding: 0;
}
li {
background: #eaf1fb;
margin: 0.5rem 0;
padding: 1rem;
border-radius: 5px;
font-size: 1.1rem;
transition: background 0.2s;
}
li:hover {
background: #d0e3fa;
}
</style>
</head>
<body>
<header>
<h1>新製品キャッチコピー集</h1>
<p>あなたのプロモーションに使える、心に響くフレーズを集めました。</p>
</header>
<main>
<ul>
<li>未来を、手のひらに。</li>
<li>あなたの日常に、新しい驚きを。</li>
<li>進化する毎日を、あなたとともに。</li>
<li>ひとつ先の快適さを、今ここに。</li>
<li>シンプルなのに、特別。</li>
<li>使うたび、好きになる。</li>
<li>もっと自由に、もっと楽しく。</li>
<li>あなたの「欲しい」をカタチに。</li>
<li>毎日が変わる、新しい体験。</li>
<li>その一歩が、世界を変える。</li>
</ul>
</main>
</body>
</html>
  • 出来上がったコードをコピーして適当な名前(例えば、simple_web_site.html)を付けて、ブラウザーに表示させたのが以下の画像です。

 このように、ユーザーは一連の指示を出すだけで、Route LLMが裏側でタスクに適したモデルを使い分け、最適な結果を出力しようとします。

「プロジェクト」機能によるファイル・データ活用

 ChatLLM の強力な機能の一つが「プロジェクト」です。これは、特定のタスクに関連するファイル、データ、カスタム指示などを一元管理するためのワークスペースです。

ファイルアップロードと対話: PDF、Word、テキストファイルなどをプロジェクトにドラッグ&ドロップでアップロードできます。アップロードされたファイルの内容をAIが認識し、その内容に関する質問応答、要約作成、情報抽出などが可能です。

【実例:ファイルアップロードと対話】
 仮に、プロジェクト名をテストプロジェクト01としています。

  1. 準備: 先週の営業会議の議事録(PDFファイル)をプロジェクトにアップロードする。
  2. ユーザー指示: 「アップロードした議事録から、決定事項とその担当者をリストアップして。」
  3. AIの応答は以下の通り。

アップロードされた「営業会議議事録」から、決定事項とその担当者をリストアップします。

決定事項と担当者は以下の通りです。

  • 新規顧客リストの作成を進めること(担当:山田太郎)
  • 既存顧客へのフォローアップメールを送信すること(担当:佐藤花子)
  • 来月の営業目標を部内で共有すること(担当:鈴木一郎)

必要に応じて、詳細や補足もお伝えできますのでご相談ください。

カスタムインストラクション: プロジェクトごとに、AIの応答方法に関する特別な指示(カスタムインストラクション)を設定できます。これにより、ファイルの内容と指示を組み合わせて、より目的に合った分析や情報抽出が行えます。

【実例:カスタムインストラクションの活用】

  1. 準備: ある製品の過去5年間の売上データ(ExcelファイルをPDF化したもの)をプロジェクトにアップロードし、カスタムインストラクションに「あなたは、会社のことは(経理、営業、販売など)何でもわかるAI専門家で経理の事で聞かれたら、回答は2023年以降のデータのみに基づいてください。売上は日本円で表示してください。」と設定する。
  2. ユーザー指示: 「最も自社製品で売上が高かった年はいつですか?その売上額も教えてください。」
  3. AIの応答(期待される内容): カスタムインストラクションに従い、2023年と2024年のデータのみを比較して、次のように回答してくれました。

自社製品(商品B)で最も売上が高かった年は「2024年」です。
その年の売上額は「140,000円」です。

 外部からファイルを準備するだけでなく、ChatLLM内で直接ドキュメントを生成することも可能です。チャット画面のオプションから「Doc-Gen」などを選択し、指示を出すとAIがWord形式などでドキュメントを生成してくれます。

【実例:ドキュメント生成】

  1. ユーザー指示: チャット画面で右の方にある「more」をクリックして出てくるメニューから「Doc-Gen」を選択し、「製品A、製品B、製品Cの機能比較表をWordドキュメントで作成してください。2024年で比較項目は社名、主な特徴、対象の顧客、仕入れ価格、個数、売上額とします。」と入力する。
  2. AIの応答(期待される内容): 指示に基づき、2024年の社名、主な特徴、対象の顧客、仕入れ価格、個数、売上額を列挙した比較表のWordファイル(.docx)を生成し、右上のダウンロードから比較表のWordファイルを作成することができます。

 そのままプロジェクト機能に組み込んでさらに分析したりと、データ作成から活用までをシームレスに行えます。

まとめ:統合されたAIワークフローを実現

 Abacus.AI のChatLLM は、月額10ドルという低価格で、多様な最新AIモデルへのアクセス、Root LLMによる最適なモデル選択、そして「プロジェクト」機能によるファイル・データ連携とカスタム指示、さらにはドキュメント生成までを提供する、非常に強力な統合AIプラットフォームです。

 単なるチャットボットを超え、データに基づいた分析、コンテンツ作成、ワークフローの自動化などを、一つのツール内で効率的に行うことを可能にします。

 ChatLLM には、ここで紹介した以外にも、画像・動画生成、コーディング支援(CodeLLM)、AIエージェント作成、外部サービス連携(Google Drive, Slackなど)といった多くの機能が搭載されています。

 手頃な価格で多機能なAIアシスタントを探している方、特にファイルやデータを扱う業務が多い方にとって、試してみる価値のあるサービスと言えるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました