【徹底解説】GLM-4.5とは?GPT-4に迫る性能・使い方・料金を初心者向けに完全ガイド

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下記のPodcastは、Geminiで作成しました。

はじめに:AIエージェント時代の幕開けを告げる新星「GLM-4.5」登場

2024年、AI業界に新たな地殻変動をもたらす可能性を秘めた大規模言語モデル(LLM)が登場しました。その名は「GLM-4.5」。中国の有力AI企業であるZhipu AI(智谱AI、ブランド名をZ.aiに変更)によって開発されたこのモデルは、単なる対話型AIの性能向上に留まらず、より高度で自律的なタスクをこなす「AIエージェント」時代の到来を強く意識して設計されています 。

GLM-4.5は、OpenAIのGPTシリーズやAnthropicのClaudeシリーズといった既存のフロンティアモデルに真っ向から挑む、オープンソースの強力な選択肢として注目を集めています 。その最大の特徴は、これまで個別のモデルが得意としてきた「推論」「コーディング」「エージェント機能」という3つの核心的な能力を、単一のモデルに統合しようという野心的な試みにあります 。

この動きは、AI業界のトレンドが、単に質問に答える「対話型AI」から、ウェブブラウザの操作、ソフトウェア開発、複雑なデータ分析といったマルチステップのタスクを自律的に実行する「エージェントAI」へと移行していることを明確に示しています。GLM-4.5は、この新しいパラダイムの中心的な役割を担うべく、そのアーキテクチャから学習プロセスに至るまで、すべてが「エージェント・ネイティブ」として最適化されています 。

この記事では、AI開発者からビジネスパーソン、そしてAI技術に興味を持つすべての初心者までを対象に、GLM-4.5が持つ革新的な特徴、GPT-4に迫るその驚異的な性能、具体的な使い方、そして業界を揺るがすほどのコストパフォーマンスについて、どこよりも詳しく、そして分かりやすく徹底解説します。

GLM-4.5とは? 押さえておきたい5つの主要な特徴

GLM-4.5を理解する上で、その核心をなす5つの特徴は欠かせません。これらは、GLM-4.5が単なる性能向上モデルではなく、戦略的に設計された次世代AIであることを示しています。

エージェントタスクに特化した「統合モデル」

従来のLLMは、コーディングは得意だが数学的推論は苦手、あるいはその逆といったように、特定の分野で高い能力を発揮する一方で、他の分野では性能が劣るという「得意・不得意」が顕著でした 。この課題に対し、GLM-4.5は「推論」「コーディング」「エージェント機能」という、AIエージェントに不可欠な能力を一つのモデルに統合することを目指しています。

これは、複雑化するAIエージェントのアプリケーション要件に応えるための設計思想です 。例えば、ユーザーが「競合製品の最新レビューを調査し、その要点をまとめてプレゼンテーション資料を作成して」と指示した場合、モデルはウェブブラウジング(エージェント機能)、情報の要約(推論能力)、そしてスライドの生成(コーディング能力)をシームレスに連携させる必要があります。GLM-4.5は、こうした複合的なタスクを単一のモデルで完結させることを目標としています。

2つのモデルバリエーション:GLM-4.5とGLM-4.5-Air

GLM-4.5は、用途に応じて選択可能な2つのモデルで構成されるファミリーです。

  • GLM-4.5: フラッグシップモデルであり、総パラメータ数は3550億、推論時に有効化されるアクティブパラメータ数は320億です。最高の性能を求める、要求の厳しいタスク向けに設計されています 。
  • GLM-4.5-Air: より軽量なモデルで、総パラメータ数は1060億、アクティブパラメータ数は120億です。効率性を重視し、ハイエンドのコンシューマー向けハードウェアでも動作する可能性を秘めています 。

この2つのバリエーションにより、開発者はプロジェクトの要求性能と計算リソースの制約に応じて、最適なモデルを選択できます。

高効率な「MoEアーキテクチャ」と独自の設計思想

GLM-4.5シリーズは、計算効率を劇的に向上させる「MoE(Mixture of Experts)」アーキテクチャを採用しています 。これは、モデル内部に多数の「専門家(エキスパート)」と呼ばれる小さなニューラルネットワーク群を持ち、入力されたタスクに応じて最適な専門家だけを起動させる仕組みです。これにより、モデル全体のパラメータ数は巨大でありながら、推論時の計算コストを大幅に削減できます。

さらに、Zhipu AIは独自の設計思想を取り入れています。多くのMoEモデルがモデルの「幅」(隠れ層の次元やエキスパートの数)を広げる方向で性能を追求するのに対し、GLM-4.5はモデルの「高さ」(層の数)を増やす「深く、広くない(deeper, not wider)」アプローチを採用しました 。これは、より深い階層構造を持つモデルの方が、複雑な推論タスクにおいて優れた能力を発揮するという研究結果に基づいています 。

このアーキテクチャは、AIの思考プロセスを、巨大な平屋建ての図書館から、多層階にわたって知識が有機的に連携する高層タワーへと進化させるようなものです。各フロア(層)で処理された情報が次のフロアへと引き継がれ、より洗練された、深いレベルでの理解と推論が可能になるのです。この技術的な選択が、GLM-4.5の高度なエージェント能力を支える基盤となっています。

状況に応じて切り替わる「ハイブリッド推論」

GLM-4.5は、タスクの複雑さに応じて応答モードを切り替える「ハイブリッド推論」機能を搭載しています。

  • 思考モード (Thinking Mode): 複雑な問題解決、複数ステップにわたる計画、ツールの使用が求められるタスクで使用されます。モデルはステップ・バイ・ステップで思考の過程を生成し、より正確で論理的な回答を導き出します。応答速度は遅くなりますが、精度は格段に向上します 。
  • 非思考モード (Non-Thinking Mode): 即時の応答が求められる単純な質疑応答や会話タスクで使用されます。高速で効率的な応答が可能です 。 

このデュアルモード設計により、開発者はアプリケーションの要件に応じて、応答の質と速度のバランスを柔軟に調整することができます 。 

 商用利用も可能な「MITライセンス」

GLM-4.5のリリースにおける最も重要な側面の一つが、そのライセンス形態です。ベースモデル、ハイブリッド推論モデル、さらには省メモリなFP8バージョンに至るまで、すべてが非常に寛容な「MITライセンス」の下で公開されています 。

MITライセンスは、商用利用、改変、再配布をほぼ無制限に許可するものです。これにより、スタートアップから大企業まで、あらゆる開発者が最先端の基盤モデルを自社製品やサービスに自由に組み込むことが可能になります。これは、ライセンスが厳格で内部構造が不透明な多くのプロプライエタリ(独占的)モデルとは一線を画すものであり、AI技術の民主化を大きく前進させるものです 。 

性能を徹底比較:GLM-4.5はGPT-4やClaudeを超えるか?

GLM-4.5は、主要なベンチマークにおいて、既存のトップティアモデルに匹敵、あるいはそれを凌駕する性能を示しています。ここでは、その実力を客観的なデータに基づいて徹底的に比較・分析します。

総合ベンチマーク評価

Zhipu AIが公開した12の主要ベンチマーク(エージェント、推論、コーディングを含む)の総合評価によると、GLM-4.5は並み居る競合モデルの中で総合3位にランクインしました。これは、o3やGrok-4といったモデルに次ぐ順位であり、AnthropicのClaude Opus 4を上回る結果です 。また、軽量版のGLM-4.5-Airも総合6位と健闘し、Claude 4 Sonnetを上回っています 。

ただし、これらの結果はZhipu AI自身による評価であり、第三者機関による独立した検証が待たれる点には注意が必要です 。また、比較対象にMeta社のLlamaシリーズやMistral社のモデルが含まれていないなど、意図的な選別が行われている可能性も指摘されています 。とはいえ、オープンソースモデルがプロプライエタリの最先端モデルと肩を並べる性能を示したこと自体が、画期的な成果と言えるでしょう。

3.2. 分野別パフォーマンス:エージェント、コーディング、推論

GLM-4.5の真価は、その専門分野における圧倒的なパフォーマンスにあります。

エージェント能力 (Agentic Abilities)

エージェントとしての能力を測る複数の指標で、GLM-4.5は卓越した結果を残しています。

  • ツール使用: 関数の呼び出し能力を評価する𝜏-benchBFCL-v3といったベンチマークでは、Claude 4 Sonnetに匹敵する性能を示しました 。
  • ウェブブラウジング: 複雑なウェブ操作を要求されるBrowseCompベンチマークにおいて、GLM-4.5は正答率26.4%を記録。これはClaude-4-Opusの18.8%を明確に上回るスコアです 。
  • ツール呼び出し成功率: 最も注目すべきは、ツール呼び出しの成功率です。GLM-4.5は90.6%という驚異的な成功率を達成し、Claude-4-Sonnet(89.5%)、Kimi-K2(86.2%)、Qwen3-Coder(77.1%)といった競合をすべて上回りました。これは、GLM-4.5がAIエージェントとしてタスクを実行する際の信頼性と安定性が極めて高いことを示しています 。

コーディング能力 (Coding Abilities)

コーディングはGLM-4.5が特に注力する分野であり、その能力はベンチマークスコアだけでなく、具体的な成果物によっても証明されています。

  • 直接対決: 人間による評価では、Moonshot社のKimi K2に対して53.9%、Alibaba社のQwen3-Coderに対しては80.8%という高い勝率を記録しました 。Claude-4-Sonnetとは互角の競争力を見せており、今後の最適化が期待されます 。
  • 実践的なデモ: GLM-4.5は、単にコードスニペットを生成するだけでなく、インタラクティブなミニゲーム(Flappy Birdのクローン)、3D迷路、物理シミュレーションといった、単体で動作する洗練されたアプリケーションをゼロから構築する能力を実証しています 。これは、アイデアから完成品までを一気通貫で開発できる、真のフルスタック開発能力の現れです。

推論能力 (Reasoning Abilities)

前述の「思考モード」は、数学、科学、論理パズルのような複雑な推論問題でその力を発揮します 。大学院レベルの質疑応答ベンチマークである GPQAで79.1%、高度な数学コンテストの問題をベースにしたAIME24で91.0%という高いスコアを記録しており、その深い推論能力を裏付けています 。 

Table 1: 主要モデル性能比較

モデル総合ランク (Z.ai評価)ツール呼び出し成功率BrowseComp 正答率SWE-bench Verified
GLM-4.53位  90.6%   26.4%   64.2  
GLM-4.5-Air6位   N/AN/AN/A
Claude 3.5 Sonnet7位 (Sonnet 4)   89.5%   N/A37.5  
Claude-4-Opus4位N/A18.8%   N/A
Kimi K210位   86.2%   N/AN/A

この表は、GLM-4.5が特にエージェント関連のタスクにおいて、既存のトップモデルと比較して高い信頼性と性能を持っていることを明確に示しています。

GLM-4.5のマルチモーダル能力:誤解と真実

一部の資料ではGLM-4.5が「マルチモーダル」であると記述されていますが 、この点には正確な理解が必要です。結論から言うと、GLM-4.5はGPT-4oや同社の GLM-4.1V-Thinkingのように、画像や動画を直接「見て」理解するビジョン言語モデル(VLM)ではありません 。 

GLM-4.5の能力は、「マルチモーダルな成果物を生成する能力」と表現するのが最も的確です。公式ブログで紹介されているスライド作成のデモを例にとると、そのプロセスは以下のようになります 。 

  1. ユーザーが「〇〇についてのプレゼンを作って」と指示する。
  2. GLM-4.5はエージェントとして機能し、ウェブを検索して関連情報や画像を探す(ツール使用)。
  3. 収集したテキスト情報と画像を使って、HTMLやSVGなどのコードを生成し、スライドを構築する(コーディング能力)。

つまり、画像の内容を理解しているのではなく、ツールを使って画像を取得し、それをコーディング能力でレイアウトしているのです。これは、画像や動画、音声といった複数のモダリティ(様式)の情報を入力として扱える真のマルチモーダルモデルとは根本的に異なります。Zhipu AIは、画像認識などのタスクにはGLM-4Vといった専門のビジョンモデルを別途提供しており、明確な使い分けがなされています 。

GLM-4.5の使い方:無料で試す方法からAPI連携まで

GLM-4.5は、その高性能にもかかわらず、非常にアクセスしやすい形で提供されています。ここでは、初心者でもすぐに試せる方法から、開発者向けの高度な利用法までを解説します。

公式チャットで今すぐ無料で試す

最も手軽にGLM-4.5を体験する方法は、公式のチャットインターフェースを利用することです。

  • アクセス先: https://chat.z.ai
  • 手順: 上記のURLにアクセスするだけで、多くの場合、アカウント登録なしですぐにチャットを開始できます 。画面の左側にあるモデル選択メニューから「GLM-4.5」または「GLM-4.5 Air」を選び、プロンプトを入力するだけです 。

例1:「HTMLとJavaScript、CSSを使って、クラシックな「スネークゲーム」を作成してください。すべてのコードを単一のHTMLファイルにまとめてください。ゲームボードは黒、ヘビは緑色で、リンゴを食べると体が長くなるようにしてください。」と頼んでみました。出来上がった「スネークゲーム」のスクリーンショットを下記に示します。

例2:「以下のURLの記事を読み、その内容を基に「再生可能エネルギーの将来性」というテーマで5枚のスライドからなるプレゼンテーションを作成してください。各スライドにはタイトルと3つの箇条書きを含めてください。」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html
以下は、Chatのやり取りのURLです。

Chatのやり取りを見る

例3:「目の前に2つの扉があります。1つは天国へ、もう1つは地獄へ通じています。
それぞれの扉の前に門番が1人ずつ立っています。片方の門番は常に真実を言い、もう片方は常に嘘をつきます。あなたはどちらが正直者で、どちらが嘘つきか分かりません。
どちらか一方の門番に、1回だけ質問をして、天国への扉を確実に見つけ出す必要があります。
どの門番に、どのような質問をすればよいですか?あなたの思考プロセスをステップバイステップで説明してください。」
以下は、Chatのやり取りのURLです。

Chatのやり取りを見る

例4:「以下のPython関数は、リスト内の数値を処理しますが、コードが読みにくく、何をしているのか分かりにくいです。
この関数をより効率的で読みやすいようにリファクタリングし、関数の目的、引数、戻り値を説明する詳細なドキュメンテーション(docstring)を追加してください。

def process_data(data):
new_list = []
for i in data:
if i % 2 == 0:
val = i * 2
else:
val = i + 1
if val > 10:
new_list.append(val)
return new_list

以下は、Chatのやり取りのURLです。

Chatのやり取りを見る

例5:「Chart.jsを使って、以下のモデルのAPI料金(100万トークンあたりの入力・出力コスト)を比較する棒グラフを生成してください。すべてのコードを単一のHTMLファイルにまとめてください。

  • GLM-4.5: 入力$0.11, 出力$0.28
  • GPT-4o: 入力$2.50, 出力$10.00
  • Claude 3.5 Sonnet: 入力$3.00, 出力$15.00

    以下は、Chatのやり取りのURLです。

作成された棒グラフを見る

例6:AIスライドをONにして、「「https://yanai-ke.com/aivisspeech/」の記事の分かり易いスライドを作成して下さい。最初のスライドには、タイトルを入れて、な内容を入れてください。最後のスライドには、タイトル:おわりを入れて、まとめを箇条書きで示してください。各スライドには最大100文字程度に書いてください。

作成されたスライドを見る

API経由でアプリケーションに組み込む

開発者が自身のアプリケーションにGLM-4.5を統合する場合、OpenAI互換のAPIを利用できます。これにより、既存のOpenAIライブラリやツールキットをほぼそのまま流用することが可能です 。

APIキーの取得: Z.aiの公式サイトや、複数のモデルを統一的に扱えるOpenRouterのようなサードパーティプラットフォームからAPIキーを取得します 。 

Pythonコード例: 以下は、OpenAIのPythonライブラリを使ってGLM-4.5を呼び出す基本的なコードです。特に注目すべきは、複雑なタスクを依頼する際にモデルの真価を引き出す「思考モード」を有効にするためのextra_bodyパラメータです。

Python

 
from openai import OpenAI
import os
import getpass

# APIキーを環境変数に設定するか、直接指定します。
# OpenRouter経由で利用する場合の例
client = OpenAI(
    base_url="https://openrouter.ai/api/v1",
    api_key=getpass.getpass("Enter your OpenRouter API key: ")
)

# 実行したいタスクを定義
user_prompt = "Flappy Birdのような簡単なゲームをHTMLとJavaScriptで作成してください。単一のHTMLファイルで完結させてください。"

print("リクエストを送信中...")

# APIを呼び出す
response = client.chat.completions.create(
  model="z-ai/glm-4.5",  # または "z-ai/glm-4.5-air"
  messages=[
    {"role": "user", "content": user_prompt}
  ],
  # 複雑な推論やコーディングタスクには「思考モード」を有効化する
  extra_body={
    "reasoning": {"enabled": True}
  }
)

print("--- 生成されたコード ---")
print(response.choices.message.content)

ローカル環境で動かす

GLM-4.5は、オープンソースモデルとして重み(weights)が公開されているため、十分なスペックを持つマシンがあればローカル環境で実行することも可能です。

  • モデルの入手先: モデルの重みは、Hugging FaceやModelScopeといったプラットフォームで公開されています 。
  • 推奨環境: 特に軽量版のGLM-4.5-Airは、量子化(4-bit化など)を施すことで、128GBのRAMを搭載したApple M4 Macのようなハイエンドなコンシューマー向けマシンでも実用的な速度で動作することが報告されています 。これにより、強力なAIコーディングアシスタントをオフライン環境で利用するという、これまでは難しかったことが現実的になりつつあります。

料金プランと驚異のコストパフォーマンス

GLM-4.5が市場に与える最も大きなインパクトは、その破壊的な価格設定にあります。トップクラスの性能を持ちながら、既存の主要モデルよりも大幅に安価な料金で提供されています。

API利用料金

APIの利用料金は、入力と出力のトークン数(テキストの単位)に基づいて計算されます。以下は、100万トークンあたりの米ドル建ての料金です。

  • GLM-4.5 (Z.ai公式API):

    • 入力: $0.11 
    • 出力: $0.28   
  • GLM-4.5-Air (SiliconFlow経由):

    • 入力: $0.14 
    • 出力: $0.86 

なお、OpenRouterのようなサードパーティプロバイダーを経由する場合は料金が異なる場合があるため(例: GLM-4.5で入力2.20 )、利用するプラットフォームの料金体系を確認することが重要です。また、中国国内向けのプラットフォームでは、期間限定の割引なども提供されています 。

Table 2: 主要API料金比較

GLM-4.5の価格がいかに破壊的であるかを理解するために、主要な競合モデルのAPI料金と比較してみましょう。

モデル入力料金 (100万トークンあたり)出力料金 (100万トークンあたり)
GLM-4.5 (Z.ai)$0.11 $0.28  
GLM-4.5-Air (SiliconFlow)$0.14  $0.86  
GPT-4o (OpenAI)$2.50  $10.00  
Claude 3.5 Sonnet (Anthropic)$3.00  $15.00  

この表から明らかなように、GLM-4.5の料金はGPT-4oやClaude 3.5 Sonnetと比較して、入力で約20分の1から25分の1、出力に至っては約35分の1から50分の1という、まさに桁違いの安さを実現しています。

コストパフォーマンスの考察

GLM-4.5の戦略は、単に安価であることだけではありません。その真の強みは、「トップクラスの性能」「破壊的な低価格」「完全なオープンソース」という3つの要素を同時に実現している点にあります。

  1. 一部のモデルは高性能ですが、高価でクローズドです(例: GPT-4シリーズ)。
  2. 一部のモデルはオープンソースですが、最先端の性能には及びません。
  3. 一部のモデルは安価ですが、性能は中程度です。

GLM-4.5は、この3つの領域すべてで高い水準を達成することで、これまでの市場の常識を覆す価値提案を行っています。高性能なAIを誰もが低コストで利用できる環境を提供することで、AIアプリケーション開発の参入障壁を劇的に下げ、新たなイノベーションを促進する起爆剤となる可能性があります。この卓越したコストパフォーマンスは、現在の大規模言語モデル市場において、GLM-4.5を最も魅力的な選択肢の一つに押し上げています。

まとめ:GLM-4.5はAI開発の新たな選択肢となるか

Zhipu AIがリリースしたGLM-4.5は、単なる大規模言語モデルのアップデートではありません。これは、AI業界の未来、特にAIエージェントの時代に向けた明確なビジョンと戦略に基づいて設計された、画期的なプロダクトです。

本稿で解説してきたGLM-4.5の強みを要約すると、以下の3点に集約されます。

  1. エリート級の性能: 特に、今後のAIアプリケーションの中核となる「エージェントタスク」と「コーディング」の分野で、既存の最先端モデルに匹敵、あるいは凌駕する能力を実証しています。
  2. 破壊的な経済性: GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetの数十分の一という圧倒的な低価格を実現し、高性能AIへのアクセスを民主化しました。
  3. 真のオープン性: 寛容なMITライセンスの下で公開されることで、開発者に最大限の自由と透明性を提供し、技術革新のエコシステムを育む土壌を整えています。

もちろん、ベンチマークが自社報告である点や、特定の競合モデルとの比較が避けられている点など、客観的な評価には慎重さも必要です。しかし、それを差し引いても、GLM-4.5が提示した「高性能・低価格・オープンソース」という三位一体の価値は、これまでの市場の力学を根底から揺るがすほどのインパクトを持っています。

GLM-4.5は、AI開発者、研究者、そしてAIの活用を模索するすべての企業にとって、無視できない強力かつ新しい選択肢です。このモデルが、次世代の革新的なAIアプリケーションを生み出すための、新たな標準となる可能性は非常に高いと言えるでしょう 。

参考資料

  1. GLM-4.5: Reasoning, Coding, and Agentic Abililties, https://z.ai/blog/glm-4.5
  2. Z.ai Zhipu challenges DeepSeek with cheaper, more powerful GLM-4.5 agentic AI, https://winbuzzer.com/2025/07/28/z-ai-zhipu-challenges-deepseek-with-cheaper-more-powerful-glm-4-5-agentic-ai-xcxwbn/
  3. GLM-4.5: Reasoning, Coding, and Agentic Abililties by Simon Willison, https://simonwillison.net/2025/Jul/28/glm-4-5/
  4. GLM-4.5, the best open-source AI model, beats Kimi K2, Qwen3, https://medium.com/data-science-in-your-pocket/glm-4-5-the-best-open-source-ai-model-beats-kimi-k2-qwen3-b56a5df2ec34
  5. Zhipu AI Just Released GLM-4.5 Series: Redefining Open-Source Agentic AI with Hybrid Reasoning, https://www.marktechpost.com/2025/07/28/zhipu-ai-just-released-glm-4-5-series-redefining-open-source-agentic-ai-with-hybrid-reasoning/
  6. Z.ai API Platform - GLM-4.5 Documentation, https://docs.z.ai/guides/llm/glm-4.5
  7. Hugging Face Model Card: zai-org/GLM-4.5, https://huggingface.co/zai-org/GLM-4.5
  8. Zhipu AI Open Platform Pricing, https://open.bigmodel.cn/pricing
  9. Pricing - OpenAI API, https://platform.openai.com/docs/pricing
  10. Pricing - Anthropic, https://www.anthropic.com/pricing

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