はじめに
今回は、Windows11でVirtualBoxというソフトウェアを使って、KubuntuというOSを動かす方法を紹介したいと思います。
Kubuntuは、LinuxというOSの一種で、Windowsとは違う見た目や機能を持っています。Windows11とKubuntuを同時に使えると、色々なことができるようになります。
例えば、Windowsでは動かないソフトウェアやゲームを試したり、Linuxの勉強をしたりすることができます。
VirtualBoxを使えば、Windows11の中に仮想的なパソコンを作って、そこにKubuntuをインストールすることができます。
これなら、Windows11の設定やデータを変えることなく、簡単にKubuntuを試すことができます。
この記事を読むと次の疑問について知ることができます。
なお、OS、機種などで説明の仕方が変わってくることがありますので、私の使用しているパソコン環境について載せておきます。
パソコンOS : Windows11 Pro
Windowsバージョン : 22H2( (KB5030310))
VirtualBoxのバージョン : 7.0.10
Kubuntuのバージョン : 23.04
それでは、早速始めましょう。
VirtualBoxとは?
VirtualBoxとは、既存のOS上で、別のOSを実行するのに使う仮想化ソフトウェアで、VirtualBoxを利用することで、たとえばWindows OS上で、Linux系OS(Cent OS・Ubuntuなど)を動作させることもできます。
VirtualBoxはオープンソースで無料で利用できるのが特徴です。
VirtualBoxを使うメリットは、以下のようなものがあります。
- 1台のパソコン上で複数のOSを利用できる。別のOSを使うために新しいパソコンを購入したり、デュアルブートしたりする必要がない。
- 複数のOSを同時に動作させられる。ホストOSとゲストOSの間で簡単に切り替えたり、シームレスモードで同時に作業したりすることができる。
- 複数のOS間で簡単にデータ共有できる。共有フォルダやクリップボードの共有機能を使って、ファイルやテキストをやり取りすることができる。
- 手軽にテスト用・学習用の環境を用意できる。仮想マシンは簡単に作成や削除やバックアップができるため、OSの勉強やアプリケーション開発などに便利です。
VirtualBoxを使うデメリットは、以下のようなものがあります。
- 1台のパソコン上で複数のOSを動作させることになるため、パソコンの性能によっては処理が重くなる。
- 仮想マシンに割り当てるCPUやメモリなどのリソースは十分に確保する必要がある。
- 物理マシン上で直接OSを動作させる場合に比べ、仮想マシン上でOSを動作させると処理速度が落ちる。特にグラフィックスやサウンドなどの処理には影響が出やすい。
- 一部のOSやアプリケーションは仮想マシン上では正常に動作しない場合がある。互換性や安定性などに問題が生じる可能性がある。
以前解説したWSL2との比較表を概要、メリット、デメリットの観点から作成してみました。
項目 | VirtualBox | WSL2 |
概要 | Windows上で仮想マシンを作成し、その中にLinuxをインストールする方法 | Windows上でLinuxのシステムコールを実装し、Linuxのバイナリを実行する方法 |
メリット |
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デメリット |
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VirtualBoxのインストール
まずは、VirtualBoxというソフトウェアをインストールしましょう。
VirtualBoxは、パソコンの中に別のパソコンを作ることができるソフトウェアで、これを使えば、Windows11の中にKubuntuのパソコンを作ることができます。
VirtualBoxは無料でダウンロードできますので以下の手順に従ってください。
- VirtualBoxの公式サイトにアクセスします。
- 「Download VirtualBox 7.0」をクリックすると表示される「VirtualBox 7.0.10 platform packages」の下にある「Windows hosts」のリンクをクリックします。
- ダウンロードが始まります。ダウンロードが終わったら、ダウンロードしたファイル(VirtualBox-7.0.10-158379-Win.exe)をダブルクリックして起動すると、「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と聞いてくるので、「はい」をクリック。
- 「Welcome to the Oracle VM VirtualBox 7.0.10 Setup Wizard」のインストールウィザードが表示されますので「Next >」をクリック。
- 「Custom Setup」では、インストールする機能や場所を選択します。特に変更する必要はありませんので、「Next >」をクリック。
- 「Warning: Network Interfaces」と表示され、「ネットワーク接続がリセットされ、一時的に
ネットワークから切断されます。と警告が表示されます。」ネットワークが切れるのがまずい場合は、ここで取りやめ、ネットワークが切れても良いように作業した後に再度、セットアップを続けてください。ここでは、そのまま「Yes」をクリック。
- 「Missing Dependencies Python Core / win32ap」と表示されますが、これは、「Pythonバインディング」と言う機能を利用する場合は、「Pythonとwin32apiというパッケージが必要」と言っており、Kubuntuや他のOSをインストールするには、特に必要ないので「Yes」をクリックして先に進めます。
- 「Ready to Install」と表示されたら、「Install」をクリック。
- インストールが完了し、「Oracle VM VirtualBox 7.0.10 installation is complete.」と表示されたら、「Finish」をクリック。
- 「Oracle VM VirtualBox マネージャー」が立ち上がります。すぐに利用しなければ、右上の「X」をクリックして閉じておきましょう。また、パソコンのデスクトップに「Oracle VM VirtualBox」と言うアイコンができていますので、利用する場合はこのアイコンをダブルクリックすれば、「Oracle VM VirtualBox マネージャー」が立ち上がります。
以上で、VirtualBoxのインストールは終わりです。次に、Kubuntuのダウンロードに進みましょう。
Kubuntuのダウンロード
次に、KubuntuというOSのファイルをダウンロードしましょう。Kubuntuは、LinuxというOSの一種で、WindowsやMacとは違うOSで、自由にカスタマイズしたり、様々な用途に使えたりすることが特徴です。
Linuxには色々な種類がありますが、その中でもKubuntuは見た目が綺麗で使いやすいと評判です。Kubuntuは無料でダウンロードできます。以下の手順に従ってください。
- 「Kubuntuの公式サイト」にアクセスし、上部のメニューの「Download」をクリック。
- 「Kubuntu 23.04」と「Kubuntu 22.04.3 LTS」がありますが、ここでは、最新版の「Kubuntu 23.04」の「64-bit Download」をクリック。
- ダウンロードが始まり「Kubuntu 23.04」のisoファイルのダウンロードが終わったら、ファイルを確認します。ファイルの名前は「kubuntu-23.04-desktop-amd64.iso」で、サイズは約4.95GBでした。
- このファイルは、KubuntuのOSの内容が入っているイメージファイルと呼ばれるもので、このファイルをVirtualBoxに読み込ませることで、Kubuntuをインストールすることができます。
以上で、Kubuntuのダウンロードは終わりです。次に、Kubuntuのインストールに進みましょう。
Kubuntuのインストールから起動まで
仮想マシンの作成
次に、Kubuntuをインストールしましょう。Kubuntuをインストールするには、VirtualBoxで仮想マシンと呼ばれるパソコンを作って、そこにKubuntuを入れる必要があります。
仮想マシンは、Windows11の中に作られるパソコンで、Windows11とは別のOSやソフトウェアを動かすことができます
仮想マシンを作るには、以下の手順に従ってください。
- VirtualBoxのアイコンをダブルクリックすると「Oracle VM VirtualBox マネージャー」が起動しますので、「新規」をクリック。
- 仮想マシンの作成画面で、名前や場所を入力します。例えば、(Kubuntu23-04)という名前でISOImageに先にダウンロードした「kubuntu-23.04-desktop-amd64.iso」を指定して、DドライブにVirtualBoxと言うホルダーを作り「D:\VirtualBox」に保存するとし、「Skip Unattended Installation.」の左の□にチェックを入れ、「次へ(N)」をクリック。
- 仮想マシンの「Hardware」の設定で、メモリサイズとProsessorsの数を設定します。ここでは、メモリサイズは、「4096MB」、Prosessorsの数を「2」とし、「次へ(N)」をクリック。
- 仮想マシンのハードディスク「Virtual Hard disk」を設定します。「Create a Virtual Hard Disk Now」の左にチェックが入っていることを確認し、Disk Size を「50GB」とし、「Pre-allocate Full Size」の左の□にチェックを入れ、「次へ(N)」をクリック。
- 仮想マシンの概要が表示されますので、これでよければ「完了(F)」をクリックすると、右の方に「Creating medium」と下に進行バーが表示され、終了するまで気長に待ちましょう。
Kubuntuの起動(Kubuntuのインストールを含む)
上述の最後の画面で作成した仮想マシン「Kubuntu23-04」が選択状態になっており、その仮想マシンのシステム、ディスプレイ、ストレージ、オーディオ、ネットワーク、USB、共有ホルダーなどが右に表示されます。
Kubuntuを起動することにより、Kubuntuがインストールされ、起動します。そて手順は次の通り。
- 左の仮想マシン「Kubuntu23-04」が選択された状態で、右上の「起動(T)」をクリック。
- 一旦黒い画面が表示され、その後に「Kubuntu 23.04」の「ようこそ」画面が表示されますので、言語を「日本語」に、その下の「Kubuntuをインストール」をクリック。
- キーボードレイアウトが表示されますので、レイアウトが「Japanese」、変種が「Japanese」になっていることを確認後、「> 続ける」をクリック。
- アップデートと他のソフトウエア画面になりますので、「通常のインストール」にチェック、その他のオプションで「Kubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする」にチェックを入れてあることを確認後「> 続ける」をクリック。
- 「インストールの種類」画面になるので、「ガイドーディスク全体を使う」にチェックが入っていることを確認後「インストール(I)」をクリック。
- 「ディスクに変更を書き込みますか?」を聞かれるので「続ける」をクリック。
- 「どこに住んでいますか?」と言う画面になりますので、。地域が「アジア」、タイムゾーン「日本時間」になっていることを確認後、「> 続ける」をクリック。
- 「あなたの情報を入力してください」画面になりますので、名前(記入するとユーザー名にも同じ名前が自動記入)、ユーザー名(ログインする際の名前)、パスワード、コンピューターの名前(「名前‐VirtualBox」となります。)を記入して、「> 続ける」をクリック。
- 画面が色々表示されます。終了するのに時間がかかりますので気長に待ちましょう。終了すると「インストールが完了しました」と表示されますので、「今すぐ再起動する」をクリック。
- 再起動している間に「Please remive installation medimu, then press ENTER」と表示されますので、上部のメニューの「デバイス」⇒「光学ドライブ」⇒「仮想ドライブからディスクを除去」と順にクリック
- ドライブの排出画面が出ますので「強制マウント解除」をクリックして、リターンを押下。
- すると再起動し、しばらくするとログイン画面画面が表示されますので、パスワードを記入してログインします。
- Kubuntuの初期画面になります。
以上で、Windows11でVirtualBoxを使ってKubuntuを動かす方法を紹介しました。
次に、Kubuntuの初期設定と使い方について説明します。
Kubuntuの初期設定と使い方
Kubuntuをインストールしたら、初期設定と使い方を覚えましょう。
Kubuntuは、Windows11とは違うデスクトップ環境やアプリケーションを持っていまが、基本的な操作はWindows11と似ているので、すぐに慣れることができます。
ここでは、Kubuntuのデスクトップ環境やアプリケーションについて紹介します。
日本語入力の設定
Kubuntu23.04をインストールした段階で、日本語表示はされていましたが、日本語入力はできないようでした。
下のパネルにある「Discover」を開き、検索窓に「fictx」と記入して検索すると、Fcitxに関するアプリが沢山表示されますので、それらの中から「Fictx5 - Fictx5用Mozc」の横にある「インストール」をクリックすると、パスワードを聞かれますので、VirtualBoxで仮想マシンを作成した際のパスワードを入力して「OK」をクリックすると、Fictx5 - Mozcがインストールされます。
その後、設定を反映するために、Kubuntuを再起動することにより、日本語入力が可能となりました。
クリップボードの共有及びファイルの共有
VirtualBoxを利用するメリットの一つに、クリップボードの共有やフィルの共有がありますが、これが正常に動作しませんでした。この理由は不明です。
これらが使えないと不便ですね!
VirtualBoxを最新のバージョン7.0.10を利用したためなのかは不明ですが、色々調べて試しましたが解決しませんでした。
デスクトップ環境
Kubuntuのデスクトップ環境は、Plasmaという名前のものです。Plasmaは、見た目が綺麗でカスタマイズ性が高いデスクトップ環境です。Plasmaのデスクトップ画面は、以下のような要素から構成されています。
- メニューボタン
左下にある「歯車のようなマーク(アプリケーションlランチャー)」をクリックすると、アプリケーションや設定などにアクセスできるメニューが表示されます。 - タスクバー
下にある長いバーで、開いているアプリケーションや通知などが表示されます。 - ウィジェット
デスクトップ画面に置くことができる小さなアプリケーションで、。時計やカレンダーなどがあります。「メニューボタン」を右クリックすると表示されるメニューから「+ウィジェットを追加」をクリックして表示される色々なウィジェットをデスクトップの好きな位置に配置して追加したり、削除したりすることができます。 - デスクトップ
デスクトップ画面にファイルやフォルダを置くことができます。右クリックすると表示されるメニューからアプリケーション、ウィジェット、などを貼り付けたり削除したりすることができます。 - アイコン
デスクトップ画面にある小さな絵のことで、アイコンをダブルクリックすると、そのアイコンに対応するファイルやフォルダやアプリケーションを開くことができます。
Plasmaのデスクトップ環境は、自分の好みに合わせて変更することができます。例えば、壁紙やテーマやフォントなどを変えたり、タスクバーやウィジェットの位置やサイズを変えたりすることができます。
デスクトップ環境を変更するには、下のパネルから「KDEシステム設定」を開いてください。「システム設定」では、色々な項目がありますが、ここでは、「外観」と「ワークスペース」の項目に注目しましょう。「外観」では、壁紙やテーマやフォントなどの見た目に関する設定ができます。
「ワークスペース」では、タスクバーやウィジェットやショートカットキーなどの動作に関する設定ができます。各項目を選択して、自分の好みに合わせて変更してみましょう。
アプリケーション
Kubuntuには、様々なアプリケーションがインストールされていおり、これらのアプリケーションは、「メニューボタン」から開くことができます。「メニューボタン」をクリックすると、カテゴリごとにアプリケーションが表示されます。
例えば、「インターネット」のカテゴリには、ウェブブラウザやメールクライアントなどがあり、「グラフィックス」のカテゴリには、画像編集や写真管理などがあり、「オフィス」のカテゴリには、ワードプロセッサやスプレッドシートなどがあります。
それぞれのカテゴリを選択すると、そのカテゴリに含まれるアプリケーションが表示され、アプリケーションをクリックすると、そのアプリケーションを開くことができます。
ここでは、Kubuntuにインストールされているアプリケーションの中から、代表的なものをいくつか紹介します。
アプリケーションの分類 | アプリケーション名 | 説明 |
インターネット | FireFox | ウエブブラウザー |
KDE connect | デバイス間の相互通信を可能にするソフト | |
Thunderbird | メールクライアント、メーラー | |
オフィス | LibreOffice | 無料のオフィスソフト、Witer、Calc、Tmpress、Draw、Mathのソフトを含む |
Okular | 文書ビュアー | |
グラフィックス | Gwenview | 画像ビューア |
システム | Dolphin | ファイルマネージャー |
Konsole | ターミナルエミュレーター | |
Discover | ソフトウエアーセンター | |
開発 | Kate | 高機能テキストエディター |
Kubuntuには、これら以外にも色々なアプリケーションがあり、自分の好きなアプリケーションを探してみましょう。
また、Kubuntuには、新しいアプリケーションをインストールする方法もあり、Kubuntuでは、パッケージマネージャという仕組みで、インターネット上から簡単にアプリケーションをダウンロードしてインストールすることができます。パッケージマネージャには、「Discover」というグラフィカルなものと、「apt」というコマンドラインのものがあります。「Discover」は、「メニューボタン」から「Discover」を選択して開くことができます。「Discover」では、カテゴリやランキングやレビューなどでアプリケーションを探して、「インストール」ボタンをクリックするだけでインストールすることができます。「apt」は、「Konsole」から使うことができます。「apt」では、「sudo apt install アプリ名」というコマンドでアプリ名に対応するアプリケーションをインストールすることができます。例えば、「sudo apt install gimp」というコマンドで、「GIMP」という画像編集ソフトウェアをインストールすることができます。
おわり
この記事では、Windows11でVirtualBoxを使ってKubuntuを動かす方法と、Kubuntuの初期設定と使い方について説明しました。
Windows11とKubuntuを同時に使えると、色々なことができるようになります。
例えば、Windowsでは動かないソフトウェアやゲームを試したり、Linuxの勉強をしたりすることができます。
VirtualBoxを使えば、Windows11の設定やデータを変えることなく、簡単にKubuntuを試すことができます。ぜひ、この記事を参考にして、自分でも試してみてください。
以上です。
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