はじめに
皆さんは、StabilityMatrixを知っていますか?
StabilityMatrix は、オープンソースの画像生成AIで知られいるStable Diffusionをローカルな自分のパソコン上で扱う上で最も高機能でかつ多くの方に利用されているStable Diffusion WebUI(AUTOMATIC1111版)やComfy UI, SD.Next, VoltaML, InvokeAI , FooocusなどのAI生成アプリを簡単にインストールできるランチャーアプリになります。
以前に紹介したA1111 webui easy installer and launche よりも、高機能でより簡単にインストールできるので、StabilityMatrix についてもう少し深堀して紹介しようと思います。
この記事を読むと次の疑問について知ることができます。
なお、OS、機種などで説明の仕方が変わってくることがありますので、私の使用しているパソコン環境について載せておきます。
パソコンOS : Windows11 Pro
Windowsバージョン : 22H2
StabilityMatrix のバージョン : 2.3.3
StabilityMatrix とは?
StabilityMatrix は、AI画像生成環境を簡単に導入できるインストーラーで、以下のような特徴があります。
- AUTOMATIC1111 WebUI、Comfy UI、 SD.Next、VoltaML、 InvokeAI 、FooocusなどのAI生成アプリを一括で自分のパソコンにインストールが可能。
- モデル・LoRA・LyCORIS・VAE・Embeddingを共通化できるため、ディスク容量やメモリ使用量を節約が可能。
- CivitAIからインポートするモデルブラウザを装備しており、モデルをダウンロードするのに便利。
- GitとPythonは、動作するために必要なソフトウェアですが、別途ダウンロードや設定をする必要はなく、自動でインストールするので、これらの知識がない初心者でも簡単に利用が可能
なお、 StabilityMatrix のバージョンの履歴からv1.0.0を見ると、2023年6月26日となっており、この時が初版であり、その後改良がなされ、2023年9月3日時点では、バージョンは2.3.3となっています。
StabilityMatrix がインストールできるAI画像生成環境
StabilityMatrixでインストールできるAI画像生成環境アプリには、現時点ではAUTOMATIC1111 WebUI、Comfy UI、 SD.Next、VoltaML、 InvokeAI 、Fooocusの6種類となっています。
これらのAI画像生成環境アプリを簡単に説明すると次のようになります。
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AUTOMATIC1111 WebUI
Stable DiffusionというAIイラスト生成技術を使って、テキストや画像からイラストを生成できるアプリで、以下のような特徴があります。- Stable DiffusionのWebUI版であり、ブラウザから操作が可能。
- 多くの拡張機能やモデルをサポートしており、様々なジャンルやスタイルのイラストを生成が可能。
- LoRAやLyCORISという最新のテキストから画像への変換技術も利用が可能。
- 最も普及しているAI画像生成環境アプリの一つ。
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Comfy UI
AUTOMATIC1111の拡張版であり、より使いやすく高機能なUIを提供するアプリで、以下のような特徴があります。- AUTOMATIC1111のすべての機能に加えて、RefinerやVAEといった新しい機能も利用が可能。
- 日本語化されており、日本人ユーザーにも分かりやすい。
- 画像の保存や共有が簡単にできる形式を装備。
- 設定やモデルの管理が容易。
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SD.Next
AUTOMATIC1111のフォーク版であり、最高のパフォーマンスと最新の技術を追求したアプリ、以下のような特徴があります。- PyTorch 2.0やSDPAといった最新の技術を利用して、生成速度を向上。
- Windows / Linux / MacOSといった様々な環境で動作。
- Stable Diffusionだけでなく、SD-XL, Kandinsky, DeepFloyd IFといった他のDiffusionモデルもサポート。
- SD.Nextは、Dynamic ThresholdingやControlNetといった強力な拡張機能が事前にインストールされています。
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VoltaML
AI画像生成技術だけでなく、音楽や文章など他のジャンルのコンテンツも生成できるアプリで、以下のような特徴があります。- Stable Diffusion以外にもGANやTransformerといった他のAI技術も利用可能。
- オリジナルキャラクターだけでなく、既存のキャラクターや有名人なども生成可能。
- 画像だけでなく、音楽や文章やコードなども生成可能。
- CLiP Interrogatorという機能を使って、画像からテキストを生成したり逆にテキストから画像を生成が可能。
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InvokeAI
AI画像生成技術を使って自動的にオリジナルキャラクターを作成するアプリ、以下のような特徴があります。- Stable Diffusionをベースにしており、高品質なイラストが生成可能。
- キャラクターの性別や年齢や髪型などのパラメータを設定可能。
- キャラクターの名前や性格や設定などの文章も生成可能。
- キャラクターのデータを保存したり編集したり共有したりが可能。
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Fooocus
AI画像生成技術を使って自分の好きなキャラクターにフォーカスするアプリで、以下のような特徴があります。- Stable Diffusionをベースにしており、高品質なイラストが生成可能。
- 自分の好きなキャラクターの画像やテキストを入力すると、そのキャラクターに似たイラストを生成可能。
- 生成されたイラストのスタイルやポーズや表情などを変更可能。
- 生成されたイラストを保存したり編集したり共有したりが可能。
StabilityMatrix 及びAutomatic1111 WebUIのインストール
StabilityMatrixをインストールするには、色々なAI画像生成環境を構築できますので、容量の空いたできる限り大きな容量を持つドライブにディレクトリーを先ず作成した方がよいでしょう。
以後はインストールの手順を次に示します。
- Dドライブの直下に「StabilityMatrix」と言うホルダーを作成。
- StabilityMatrixのインストーるファイルをダウンロード。パソコンの環境にあったファイルを選択。ここでは、「StabilityMatrix-win-x64.zip」をダウンロード。
または、StabilityMatrixのホームページから「最新のダウンロード」ボタンをクリックして「StabilityMatrix.exe」を自分のパソコンにダウンロード。
- ダウンロードした「StabilityMatrix-win-x64.zip」を解凍。解凍したフォルダー「StabilityMatrix-win-x64」内の「StabilityMatrix.exe」を、または、StabilityMatrixのホームページからダウンロードした「StabilityMatrix.exe」を、1で作成したDドライブの「StabilityMatrix」ファルダー内に入れる。
- Dドライブの「StabilityMatrix」ファルダー内の「StabilityMatrix.exe」をダブルクリックして起動すると、「WindowsによってPCが保護されました」と表示されましたら、「詳細情報」をクリックすると、そのウインドウの下に「実行」ボタンが表示されるので、それをクリック。
- 最初に「StabilityMatrix.exe」を起動した際には、「Let’s get started」という画面が表示されますので、「1 have read and agree to the License Agreement」の左横の□にチェックを入れ「Continue」をクリック。(この部分の画像は取り忘れたので省略)
- 起動したら「Portable Mode」の左の□にチェックを入れ、「Continue」をクリック。
- 「Welcome to Stability Matrix!」と言うウインドウが表示され、右の「Stable Diffusion WebUI byAUTOMATIC1111」が選択されていることを確認して、「Install」をクリック。
- 画面が2度ほど消えてまた点灯しますが心配せず、しばらく時間がかかりますが、ゆっくり待ちましょう。「Click Launch to get started!」と表示されたら、緑色の「Launch」をクリック。
- ここでもしばらく時間がかかりますが、ゆっくり待ちましょう。緑色の「Open Web UI」と表示
- と共に、AUTOMATIC1111 WebUIが立ち上がっています。この後は、UebUIを閉じたら、再度「Launch」をクリックすれば、AUTOMATIC1111 WebUIが立ち上がります。
- 立ち上がったAUTOMATIC1111 WebUIは、Lightモードで立ち上がりますが、darkモードで立ち上げたい場合は、緑色の「Launch」の右横の「歯車マーク」をクリックして「Launch Options」を表示させ、「Extra Launch Auguments」の下の欄に、次の文字を記入して「Save」をクリックしてから、赤い「Stop」ボタンをクリックしてから緑の「Launch」に変化した後に、「Launch」ボタンをクリック。すると、AUTOMATIC1111 WebUIが立ち上がります。
SD.Nextのインストール
SD.Nextのインストールの手順は次の通り。
- Stability Matrixを立ち上げ、右のメニューの「Packages」をクリック。下の「+ Add Package」をクリック。
- 左から「SD.Next Web UI By valad,amdic」を選択し、「Install」をクリック。
- インストールするのにしばらく時間がかかりますので、気長に待ちましょう。インストールされると、「Stability Matrix」の「Packages」内に「Stable Diffusion WebUI v1.6.0」と今回インストールした「SD.Next Web UI」があることが分かります。
- 「SD.Next Web UI」内の「Launch」をクリックし、「Open Web UI」が表示されたら、その緑のボタンをクリックすれば、SD.Next Web UIが起動します。
ComfyUIのインストール
ComfyUI のインストールの手順は次の通り。
- Stability Matrixを立ち上げ、右のメニューの「Packages」をクリック。下の「+ Add Package」をクリック。
- 左から「ComfyUI By comfyanonymous」を選択し、「Install」をクリック。
- インストールするのにしばらく時間がかかりますので、気長に待ちましょう。インストールされると、「Stability Matrix」の「Packages」内に「Stable Diffusion WebUI v1.6.0」「SD.Next Web UI By valad,amdic」と今回インストールした「ComfyUI」があることが分かります。
- 左メニューの「Launch」をクリックし、起動時のプログラムを選択、ここでは、「ComfyUI」をクリックし、緑の「Launch」ボタンをクリックし、「Open Web UI」が表示されたら、その緑のボタンをクリックすればComfyUIが起動します。
モデル(Checkpoint)、LoRA、TextualInvation、VAEなどの移行
前にAutomatic1111 WebUIで利用していたモデル(Checkpoint)、LoRA、TextualInvation、VAEなどを今回インストールした「Stability Matrix」のアプリを使うと、簡単に移行ができます。
移行すると、今回インストールした全てのAutomatic1111 WebUI、SD.Next、ComfyUIで利用が可能となります。
今回、移行したモデル(Checkpoint)、LoRA、TextualInvation、VAEなどは次の通り。
- モデル(Checkpoint)
- anything-v4.5-pruned.safetensors
- beautifulRealistic_v60.safetensors
- CounterfeitV30_v30_2.safetensors
- LoRA
- bottle2-000026.safetensors
- TextualInvation
- EasyNegative.safetensors
- EasyNegativeV2.safetensors
- VAE
- anything-v4.0.vae.pt
- blessed2.vae.pt
- kl-f8-anime2.ckpt
- vae-ft-mse-840000-ema-pruned.safetensors
- clearvae_v23.safetensors
移行は、簡単であり上記の関連ファイルを「Stability Matrix」の「Checkpoint」の右の欄のそれぞれの位置にドラッグ&ドロップすればOKです。なお、最初に表示されていないTextualInvation、VAEは、「Checkpoint」の右画面の上部にある「Categoriers」をクリックして、TextualInvation、VAEにチェックを入れてください。
このようにして移行したモデルは、「雲マーク」に斜線が入っており、そのモデルにカーソルを持って行った際にそのモデルの画像が表示されません。
画像を表示させるには、次で説明する「Model Browser」でダウンロードしてインストールする必要があります。
なお、「Extension」は移行できないので、これについては、それぞれ移行する必要があります。
例えば、「sdweb-easy-prompt-selector」、「sd-webui-ar」などは、それぞれのアプリで利用する場所に移動するか、それぞれで再度インストールする必要があります。
さらに、すべてのアプリ「Automatic1111 WebUI、SD.Next、ComfyUI」で、同じ拡張機能が利用できない場合もあるので、確かめて利用するようにしてください。
モデルブラウザーの利用(Model Browser)
この機能は、Civitaiにあるモデルを簡単にダウンロードしてインストールできる機能です。
ここでは、LoRA、Checkpointをダウンロードしてインストールしてみたいと思います。
初めに、モデルの名前が分かっている場合は、「Search models,#tags,or@users」の部分にモデル名を記入して、下の「sort」、「Period」、「Model type」、「Base Model」をリストから選択して「search」をクリックすることにより、それに当てはまるモデルが表示されますので、その「モデル」の中にある「Import Latest - 〇〇〇」をクリックすることにより、そのモデルをダウンロードしてインストールしてくれます。
モデルが分からない場合は、「sort」、「Period」、「Model type」、「Base Model」をリストから選択して「search」をクリックすることにより、それに当てはまるモデルが多数表示されますので、下のPageをめくりながら、目的のモデルを探し当て、その中の「Import Latest - 〇〇〇」をクリックすることにより、そのモデルをダウンロードしてインストールしてくれます。
おわりに
StabilityMatrix を用いてAI生成アプリを簡単にインストールする方法について解説しました。
このアプリは、オープンソースの画像生成AIで活用されており、幅広い利用者により効果的な活用が可能と考えられ、環境構築が困難な方でもStabilityMatrixを通じて気軽に導入できることから、更なるAI領域の開拓が期待できます。
この機会にぜひ、AUTOMATIC1111 WebUI、Comfy UI、SD.Next、VoltaML, InvokeAI , FooocusなどのAI生成アプリの構築に挑戦してみてください。
この記事が少しでも皆様のお役に立てればこれほど嬉しいことはありません。
以上です。
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