はじめに
2023年7月18日、マイクロソフトは最新のニュース発表で、Bing Chatに画像の読み込み機能が追加され、それにより「ビジュアル検索」が可能になったこと、また、Microsoft 365 Copilotの価格が発表され、利用できるMicrosoft 365のサブスクリプションや現在のBing Chatをビジネス向けに拡張したBing Chat Enterpriseなどその他色々重要な内容の発表がありました。
ユーザーの日常の利便性を高めるこれらのアップデートは、大いに期待されています。
ここでは、発表の要約、要点とBing Chatの画像読み込み機能については、実際に試した結果などを紹介します。
発表の内容
発表は2023年7月18日に発表された次の2つの記事について、その要約と要点を紹介した後に、Bing Chatの画像読み込み機能について解説します。
- BING CHAT ROLLS OUT VISUAL SEARCH FEATURE TO DESKTOP AND MOBILE PLATFORMS, Priya Walia, July 18, 2023
- Microsoft Inspire: Accelerating AI transformation through partnership, Frank X. Shaw - Chief Communications Officer, Microsoft, Jul 18, 2023
上述の記事の要約と要点を日本語で以下に示します。
要約
マイクロソフトは、デスクトップとモバイルのBingチャットユーザー向けに新機能を展開しました。この新機能は「ビジュアル検索」と呼ばれ、ユーザーは画像をアップロードし、チャットボットに画像に関する情報の提供を依頼できます。Bingチャットのビジュアル検索は、利便性と実用性が高く、すでに多くのデスクトッププラットフォームとモバイルプラットフォームのユーザーが利用を開始しています。
要点
- ユーザーは自分のパソコンなどから画像を選択し、簡単なメッセージでBing画像の詳細を依頼することが可能
- 画像には、ランドマーク、鳥の種類、車のモデル、衣服など、多岐にわたる対象を含有
- BingチャットはMicrosoftのコグニティブサービスと機械学習技術を使用して構築
（注）コグニティブサービスとは、人間のように考えたり感じたりすることができるAIのサービスです。たとえば、画像や音声や文章などを認識したり分析したり生成したりすることができます。コグニティブサービスは、マイクロソフトが提供していて、インターネットにつながっていれば使えます。 - 画像のアップロード後、Bingはテクノロジーを活用して写真を分析し、オブジェクトを識別し、ユーザーに関連情報を提供
- デジタルと物理の境界が曖昧になる中、企業はより革新的で包括的なツールを開発する機会が拡大
概要
要約
マイクロソフトが成功を収めるためには、共同作業が不可欠です。グローバルに40万以上のパートナーからなるパートナーエコシステムがあり、特に現在のAI重視の世界で、新たな技術を顧客に提供するための重要な役割を果たしています。マイクロソフトインスパイアは、私たちのパートナーが顧客の成功にどのように貢献しているかを顕彰し、新しい機会とマイクロソフト製品との関係を共有するための機会です。
2023年のマイクロソフトパートナー・オブ・ザ・イヤー賞の最終候補者と受賞者を讃えることにより、私たちはパートナーの卓越した業績を讃えています。6月下旬に発表されたこの賞は、様々なカテゴリ、ソリューション領域、産業、ビジネスの変革、社会的影響を包括的にカバーし、パートナーの成功とイノベーションを強調しています。
今年のMicrosoft Inspireでは、AIを革新的なツールとして顧客やパートナーに提供するための取り組みを進めています。私たちは、これまで以上に多くのAI機能を共有し、マイクロソフトパートナーがこれらのAI革新を組織全体にどのように展開するかを示すことに期待しています。AIスキルの強化、新しい製品やサービスによる顧客の成功促進など、様々な方向からAIの利用を推し進めます。
要点
- Bing Chat Enterpriseを発表
商用データ保護を備えたAIパワードチャットを提供。商用顧客に対してより良い回答、効率の向上、創造性を新たな形で提供 - Microsoft 365 Copilotの価格を発表
Microsoft 365 E3、E5、Business Standard 、Business Premiumの顧客に対して$30/ユーザー/月で利用可能。数千のスキルを備えた次世代のジェネラティブAIアプリで、ビジネスデータと連携し、より豊富で関連性のある回答を提供 - セールスエージェントとカスタマーサービス担当者をAIで強化
Microsoft Sales Copilotに機能を追加し、AIを活用したCRMタスク自動化により、生産性の向上と顧客との個別化された相互作用の向上を実現 - Power Automateのプロセスマイニング
次世代のAI機能を提供し、既存のプロセスを最適化し、ローコード自動化による効率向上を推進 - Azure OpenAIの拡張可能性
Azure OpenAI Serviceのビジネス採用を拡大し、世界中のさまざまな組織にサービスを提供 - 新しいAzureの機能と投資
Azure Migrate & Modernizeの拡大投資、Azure Innovateの新規投資を発表。スケーラビリティの向上とAIパワードアプリの開発を支援 - Metaとのパートナーシップ
MetaとMicrosoftは、AzureとWindows上でLlamaファミリーの大規模言語モデルをサポート。Azure顧客はLlama 2を利用し、AIのパワーを活用 - Epicとの拡大戦略的提携
AIの力を使ってエピックとの戦略的提携を拡大し、医療従事者がより質の高いケアを提供できるよう支援 - 新しいMicrosoft AI Cloud Partner Program
新しいパートナープログラムを発表し、すべてのパートナーにAIとMicrosoft Cloudを活用した顧客価値の提供を支援します。
これらの発表の中でBing Chatに画像読み込み機能が追加され、その画像について色々質問することが可能となったので、ここで「Google Bard」で行った内容と同じ質問をして、どのような回答がなされるかを試してみたいと思います。
Bing Chat の画像読み込み機能
画像を読み込ませるには、プロンプトを記入する欄の右上にある「写真のファインダーのようなマーク（画像を追加します）」をクリックして、画像のURLを記入又は「このデバイスからアップロード」をクリックして、自分のパソコンから画像ファイルを選んで「開く」をクリックすれば画像が読み込まれます。
オブジェクトの識別
「アリウム（別名：ギガンテウム）」という花の写真を読み込ませ、「この花の名前などの特徴、花言葉、花言葉の由来、誕生花などについて教えて」と尋ねてみました。
以下がBing Chatからの回答です。
あなたが送ってくれた写真の花は、アリウムという名前の球根の花です。アリウムはユリ科（ネギ科）の植物で、タマネギやニンニク、ネギなどの野菜やハーブもアリウムの仲間です。1
アリウムには数百種類もあり、花のサイズや色、形などが様々です。あなたの写真の花は紫色の球状の花で、おそらくアリウム・シュベルティという種類だと思われます。アリウム・シュベルティは超大輪のアリウムで、直径がバスケットボールくらいにもなります。花火のような見た目が特徴的です。2
アリウムの花言葉は、種類や色によって異なりますが、一般的には「絆」「団結」「勇気」「誠実」「高貴」などがあります。紫色のアリウムの花言葉は「高貴な美しさ」「優雅さ」「気品」などがあります。3
アリウムの花言葉の由来は、小さな花が集まって一つの大きな花を作ることから、「絆」や「団結」が生まれたと言われています。また、アリウムはニンニクやタマネギと同じ科であることから、「勇気」や「誠実」が生まれたとも言われています。紫色のアリウムの花言葉は、紫色が高貴な色とされていることから、「高貴な美しさ」や「気品」が生まれたと考えられます。3
アリウムの誕生花は、開花時期によって異なりますが、一般的には5月や6月に咲く種類が多いです。5月の誕生花は「幸せを呼ぶ」という意味があります。6月の誕生花は「純真無垢」という意味があります。3
以上、アリウムについてご紹介しました。参考にしてくださいね。
1: Allium - Wikipedia 2: アリウム・シュベルティ 球根 | LOVEGREEN(ラブグリーン) 3: Ultimate Guide to Allium Flower Meaning and Uses | Petal Republic
回答の結果を見ると、花の名前は合っていましたが、細かなところで花言葉などは違っており、残念でした。この回答に関しては、Google Bardも同様な回答であり、引き分けと言えます。
類似したアイテムを見つける
家で購入したロボット掃除機の写真を読み込ませ、「この商品の名前を教えてください。」と尋ねてみました。
以下がBing Chatからの回答です。
あなたが送ってくれた写真の商品は、DEEBOT N10 PLUSという名前のお掃除ロボットです。DEEBOT N10 PLUSは、エコバックスジャパンという会社が販売しているロボット掃除機で、吸引とモップ掛けを一度にできる機能や自動ゴミ収集ステーションなどが特徴です。1
DEEBOT N10 PLUSは、最大吸引力4300Paの強力な吸引力や、OZMOモップシステムによる水拭き機能を備えています。また、TrueMappingというレーザーナビゲーションシステムにより、家の中を効率的に清掃します。さらに、抗菌フィルターや活性炭フィルターにより、空気の清浄化も行います。2
DEEBOT N10 PLUSは、日本ではエコバックスジャパンの公式サイトやAmazonなどで購入できます。価格は税込みで92,960円です。1
以上、DEEBOT N10 PLUSについてご紹介しました。参考にしてくださいね。
1: DEEBOT N10 PLUS&付属品セット|ECOVACS Japan公式サイト 2: DEEBOT : Robot Vacuum Cleaners And Mops-ECOVACS US
回答の結果を見ると、掃除機メーカは合っていましたが、細かな機種名が違っており、画像認識においては現時点では「Google Bard」の方が優れているといえます。
この商品については、次の記事を参照。
場所に関する情報を取得する
昔イタリア旅行した際に撮影した写真を読み込ませ、「この建物の場所と名前を教えてください」と尋ねてみました。
あなたが送ってくれた写真の建物は、サン・ピエトロ大聖堂という名前の教会です。サン・ピエトロ大聖堂は、イタリアのローマにあるバチカン市国の中心にあります。バチカン市国は、カトリック教会の本拠地であり、世界最小の国家です。1
サン・ピエトロ大聖堂は、キリスト教の最初の教皇である聖ペテロの墓所の上に建てられたとされており、カトリック教徒にとって最も神聖な場所のひとつです。現在の大聖堂は、16世紀から17世紀にかけてルネサンス様式とバロック様式で建設されました。ブラマンテ、ラファエロ、ミケランジェロ、ベルニーニなどの優れた芸術家や建築家が関わりました。2
サン・ピエトロ大聖堂は、内部面積で世界最大の教会であり、高さ136. 6メートルの巨大なドームが特徴的です。内部には、多くの彫刻や壁画やモザイクなどの芸術作品が飾られています。また、多くの教皇や聖人の遺体や遺品も収められています。3
サン・ピエトロ大聖堂は、世界遺産に登録されている「バチカン市国」の一部です。バチカン市国には、他にもバチカン美術館やシスティーナ礼拝堂などの見どころがあります。4
以上、サン・ピエトロ大聖堂についてご紹介しました。参考にしてくださいね。
1: Vatican City - UNESCO World Heritage Centre 2: St. Peter’s Basilica - Wikipedia 3: St. Peter’s Basilica | Largest Church In The World 4: Saint Peter’s Basilica - Città Del Vaticano
回答の結果を見ると、建物の名前（サン・ピエトロ大聖堂）は合致しており、それに関する内容も合っていました。
さらに、鎌倉に行った際に撮影した大仏の写真を読み込ませ、「この大仏がどこにあるのか、名前は何なのか教えてください。」と尋ねてみました。
あなたが送ってくれた写真の大仏は、鎌倉大仏という名前の銅像です。鎌倉大仏は、神奈川県の鎌倉市にある高徳院という寺院の境内にあります。高さは11.4メートルで、日本で2番目に高い銅製の大仏像です。1番目は奈良の東大寺にある大仏像です。1
鎌倉大仏は、阿弥陀如来を表しており、13世紀に造られました。もともとは木造の建物に収められていましたが、台風や津波などで何度も破壊されたため、1498年以降は屋外に露出したままです。そのため、風雨にさらされているにもかかわらず、保存状態が良いことが特筆されます。2
鎌倉大仏は、国宝に指定されており、多くの観光客が訪れる人気スポットです。中に入ることもできますし、近くには海や山などの自然も豊かです。1
以上、鎌倉大仏についてご紹介しました。参考にしてくださいね。
1: Great Buddha (Daibutsu) - Kamakura Travel - japan-guide.com 2: Kamakura Daibutsu (Great Buddha) 鎌倉大仏 - Travel Japan
回答の結果を見ると、正解でした。この機能については、「Google Bard」は人物などは対応していないのに対して、Bing Chatはちゃんと正解を出しており、場所に関する情報の取得や人物関係の情報取得に関しては、現時点では「Bing Chat」の方が「Google Bard」より優れているといえます。
テキストの翻訳
タブレットのマニュアルのある１ページ（ポルトガル語）をスマホで撮影し、その画像を読み込ませ「写真内の文字を日本語に翻訳して」と尋ねてみました。
あなたが送ってくれた写真の文字は、ポルトガル語で携帯電話の部品を説明したものです。日本語に翻訳すると、以下のようになります。
- スピーカー
- 電源ボタン
- メインカメラ
- 光センサー
- サブマイク
翻訳には、Bing TranslatorやGoogle Translateなどのオンライン翻訳サービスを利用することができます。以下のリンクからアクセスできます。
- Bing Translator
- Google Translate
以上、写真内の文字の翻訳についてご紹介しました。参考にしてくださいね。
回答の結果を見ると、日本語に翻訳してくれましたが、一部しか翻訳されておらず、全部翻訳されておりませんでした。
この部分をGoogle Bradと比較すると次の通り。
| Bing Chat | Google Bard | ||||||||||||||||||||||||||||||||
|
こんにちは、こちらはBingです。😊 あなたが送ってくれた写真の文字は、ポルトガル語で携帯電話の部品を説明したものです。日本語に翻訳すると、以下のようになります。
翻訳には、Bing TranslatorやGoogle Translateなどのオンライン翻訳サービスを利用することができます。以下のリンクからアクセスできます。
以上、写真内の文字の翻訳についてご紹介しました。参考にしてくださいね。 |
Sure, I can help you with that. Here is the translation of the text in the photo into Japanese:
Here is a table of the English and Japanese translations side-by-side:
I hope this is helpful! Let me know if you have any other questions. |
上述の表を見ると、明らかに現時点では、「Google Bard」の方が「Bing Chat」より優れていることが分かります。
おわりに
本記事では、2023年7月18日に発表されたマイクロソフトのBardアップデート、具体的にはBing Chatの画像読み込み機能とMicrosoft 365 Copilotの価格発表などについて解説しました。
ビジュアル検索により、ユーザーは自分のパソコンなどから画像を選択し、Bing Chatに詳細情報の提供を依頼できます。
これは多岐にわたる対象、例えばランドマーク、鳥の種類、車のモデル、衣服などを含んでいます。
この発展はユーザーの利便性を大幅に向上させるものであり、多くのユーザーがすでにこの新機能を利用し始めています。
また、Bing Chatの画像読み取りによる各種性能をGoogle Bardと比較しながら紹介し現時点では、Bing ChatとGoogle Bardの性能比較では、Bing Chatの方が1勝2敗1引き分けと言う結果となりました。
これは、あくまで現時点での話であり、今後お互いが切磋琢磨してより良い方向に進むことを願って終わりにしたいと思います。
以上です。
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