【2023年7月13日のアップデート】BardアップデートでAIチャットボットがどう変わったか?

AIチャットボット
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はじめに

 Googleの検索アルゴリズムは常に進化しており、その中でも特に注目されるのがGoogle Bardアップデートです。

 2023年7月13日に行われたアップデートは、GoogleがBardアップデートに大きな注力をしていることを示しています。

 Bardアップデートは、Googleの検索機能や表示、ランキングの要素や評価基準、ウェブサイトやページのパフォーマンスに大幅な影響を及ぼします。

 したがって、Bardアップデートに対応することは、SEOにとって非常に重要な問題となっています。

 この記事では、Bardアップデートでどう変わったかを実際の事例と分析を交えて紹介します。 

アップデートの内容

 Google Bardは、Googleが開発した自然言語処理の技術を用いた検索アシスタントです。Bardは、検索クエリやコンテンツの意味や文脈をより深く理解し、高度な回答や分析を提供します。 Bardはまだ試験運用中ですが、前回のアップデートから1ヵ月ちょっとで大きなアップデートがされています。

 その内容は、次の通り。(https://bard.google.com/updates?hl=jaから引用)

  1. Bard をご利用いただける地域 / 国、言語を拡大
    アラビア語、中国語(簡体字、繁体字)、ドイツ語、ヒンディー語、スペイン語など、40 以上の言語に対応するようになりました。また、欧州連合(EU)全体(27 か国)、ブラジルなど、ご利用いただける地域も広がりました。
  2. Bard に Google レンズを導入
    Bard との会話にテキストだけでなく画像もアップロードすることが可能となり、まったく新しい手段で想像力や創造性を高められるようになりました。まず英語から、Bard に Google レンズを導入しました。
    注:Google レンズとは、オブジェクトの識別: 植物、動物、ランドマーク、製品など、現実世界のオブジェクトを識別できます。画像内のテキストを識別し、他の言語に翻訳することもできます。類似したアイテムを見つける: 現実世界で見ているものと類似したアイテムを見つけることができます。たとえば、気に入った靴を見つけた場合、Google レンズを使用して同様の靴をオンラインで見つけることができます。場所に関する情報を取得する: 現実世界で目にする場所に関する情報を取得するのに役立ちます。たとえば、興味のあるレストランを見つけた場合、Google レンズを使用してレビュー、メニュー、営業時間を確認できます。テキストの翻訳: 画像内のテキストを他の言語に翻訳できます。これは、旅行中に理解できない言語で書かれた標識やメニューを見た場合に役立ちます。
    読み込める画像の種類:JPEG、PNG、WebP
  3. Bard が回答の読み上げに対応
    ヒンディー語、スペイン語、アメリカ英語など、40 を超える言語で、Bard にテキスト読み上げ機能を追加しました。
  4. 固定したスレッド、最近のスレッド
    Bard との以前の会話を中断したところから再開し、ニーズに応じて整理できるようになりました。会話を固定したり、会話の名前を変更したり、一度に複数の会話を進めたりする機能が追加されました。
  5. Bard との会話を他のユーザーと共有
    Bard とのチャットの一部またはすべてを他のユーザーと簡単に共有できるようになりました。共有可能なリンクを介してチャットやソースをワンクリックで表示できるため、Bard で作成した内容を他のユーザーがシームレスに表示できるようになります。
  6. Bard の回答の書き換え
    Bard の回答を書き換える場合に役立つ 5 つの新しいオプションを導入しました。タップするだけで、回答をよりシンプルにしたり、長くしたり、短くしたり、専門的な表現にしたり、くだけた表現にしたりできます。これも、現時点では英語版のみの対応にようです。
  7. Replit に Python コードをエクスポート
    Google は、Bard のコード エクスポート機能の拡張に継続的に取り組んでおり、Google Colab に加え、Replit にも Python コードをエクスポートできるようになりました。
    注:Replitとは?
    ブラウザでコードを書いて実行できるオンラインの IDE (統合開発環境) です。プログラミングの学習や、コードの共有、共同作業に最適です。Replit は、JavaScript、Python、Java、C++、C#、PHP、Ruby などの多くの言語をサポートしています。また、Replit には、コードの実行、デバッグ、テスト、デプロイを簡単に行うための機能が豊富に用意されています。
    プログラミングの学習に最適なツールです。Replit を使えば、ブラウザでコードを書いて実行できるので、プログラミングに必要な環境を整える必要がありません。また、Replit には、プログラミングの学習に役立つリソースが豊富に用意されています。
    コードの共有と共同作業にも最適なツールです。Replit を使えば、コードを簡単に共有して、他の人と共同作業することができます。また、Replit には、コードのレビューやフィードバックを行うための機能が豊富に用意されています。
    プログラミングの学習や、コードの共有、共同作業に最適なオンラインの IDE です。Replit を使えば、プログラミングをもっと楽しく、簡単に行うことができます。

 これらのアップデートの内容の中で「1.Bard をご利用いただける地域 / 国、言語を拡大」は既に日本語(2023年5月10日のアップデート)には対応していましたので、これ以外についてGoogle Bardで実際に確かめていきたいと思います。

Google Bardを利用してアプデ―と内容の確認

Web設定を英語版へ

 「Bard に Google レンズを導入」及び「Bard の回答の書き換え」を試すためには、通常では日本語に設定してありますので利用ができません。

 これらの機能は、現時点では英語版しか対応していませんので、英語版にするためには、Bardの画面で右上の「Googleアカウントマーク」⇒「Google アカウントを管理」と順にクリック

 「Google アカウント画面」で右のメニューの「個人情報」をクリックし、下にスクロールし「ウェブ向けの全般設定」の言語クリック。

 表示される言語の画面の優先言語の横にある「鉛筆マーク」をクリックし、言語の追加画面で「English」をクリック、さらに、オプション選択画面で「United States」をクリックすることにより、「Web向けの全般設定が」英語モードになります。

 Bardに戻り、一旦ログアウトして、再度ログインする際に認証を求められますが、その認証後にBardにログインすると次のように英語画面となり、プロンプト入力欄の左に「マークがあり、ここをクリックすることによりファイルをアップロードすることが可能となります。

Bard に Google レンズを導入

オブジェクトの識別

 「アリウム(別名:ギガンテウム)」という花の写真を読み込ませ、「Tell me about the name and other characteristics of this flower, the language of flowers, the origin of the language of flowers, its birth flower, etc.」と入力して、「この花の名前などの特徴、花言葉、花言葉の由来、誕生花などについて教えて」と尋ねてみました。

 次の画像がその回答です、なお、画像内の文字が日本語になっていますが、これはGoogle 翻訳で日本語に直しているためで、実際の回答は英語でなされています。

  回答の結果を見ると、花の名前がは合っていましたが、花言葉などは違っており、残念でした。

 花の情報については、次の記事を参照。

類似したアイテムを見つける

 家で購入したロボット掃除機の写真を読み込ませ、「Tell me the name of this product.」と入力して、「この商品の名前を教えてください。」と尋ねてみました。

 次の画像がその回答です、なお、画像内の文字が日本語になっていますが、これはGoogle 翻訳で日本語に直しているためで、実際の回答は英語でなされています。

 回答の結果を見ると、掃除機の名前は合致しており、それに関する内容も合っていました。

 この商品については、次の記事を参照。

場所に関する情報を取得する

 昔イタリア旅行した際に撮影した写真を読み込ませ、「Tell me the location and name of this building.」と入力して、「この建物の場所と名前を教えてください」と尋ねてみました。

 次の画像がその回答です、なお、画像内の文字が日本語になっていますが、これはGoogle 翻訳で日本語に直しているためで、実際の回答は英語でなされています。

 回答の結果を見ると、建物の名前(サン・ピエトロ大聖堂)は合致しており、それに関する内容も合っていました。

 さらに、鎌倉に行った際に撮影した大仏の写真を読み込ませ、「Tell me the location and name of this building.」と入力して、「この大仏がどこにあるのか、名前は何なのか教えてください。」と尋ねてみました。

 回答の結果を見ると、人物のようなものの認識はまだできないようです。

テキストの翻訳

 タブレットのマニュアルのある1ページ(ポルトガル語)をスマホで撮影し、その画像を読み込ませ「Translate the text in the photo into Japanese.」と入力して、「写真内の文字を日本語に翻訳して」と尋ねてみました。

 次の画像がその回答です、なお、画像内の文字が日本語になっていますが、これはGoogle 翻訳で日本語に直しているためで、実際の回答は英語でなされています。

 回答の結果を見ると、日本語に翻訳し、さらに英語と日本との比較表を作成してくれました。(内容は正確に翻訳してくれていました。)これは素晴らしい。

Bard が回答の読み上げに対応

 「今日の東京の天気を教えて」と聞くと、東京の天気予報を教えてくれます。

 そして、回答内の右上にある「スピーカーマーク」をクリックすると、回答内容を男性の声で読み上げてくれます。

 下記は、読み上げてくれた音声です。

固定したスレッド、最近のスレッド

 Bardのホーム画面で、左にチャットの一覧の見出しが表示され、その見出しの右横にある「縦3点」マークをクリックすることにより、固定、名前変更、削除のいずれかを選択でき、固定すると固定したチャットは何時も上に表示されるようになります。

 名前変更は、チャットの見出しを分かり易い名前に変更が可能になり、削除するとそのチャットは左のチャット一覧から削除されます。

 この機能により、前のチャットの続きを行うことが可能となりました。

Bard との会話を他のユーザーと共有

 他の方との共同作業や家族内での会話の共有をするのに便利です。

 例えば、ここでは、1週間程度のフランス旅行をすると仮定して、その旅行の周遊日程や持ち物リストなどをBardに作成してもらい、これを家族で旅行する場合に旅行に行く全ての人に共有リンクを送り、意見を聴くなどのことができます。

フランス旅行の周遊予定案と持ち物リスト

Bard の回答の書き換え

 ケンと花子の簡単な冒険物語を書いてもらい。それを、「よりカジュアルに」の文書のトーンを変更してもらいました。

 次の画像は最初の回答です、なお、画像内の文字が日本語になっていますが、これはGoogle 翻訳で日本語に直しているためで、実際の回答は英語でなされています。

 左が最初に作成された文書で、右が書き換えた文書です。

最初の文書 書き換え文書(More casual)
ケンと花子が森の中を歩いていると、日本の田園地帯に太陽が沈んでいきました。彼らは何時間もハイキングをしていたので、二人とも疲れていましたが、同時に興奮していました。彼らは伝説の剣「クサナギ」を探す旅の途中だった。
クサナギは、それを持つ者に強大な力を与える強力な武器であると言われていました。ケンとハナコはその話を聞いており、その剣を見つけて人々を助けるためにそれを使おうと決心しました。
彼らは、ケンの家族に代々受け継がれてきた地図を追っていました。地図は彼らを森を通って空き地に導きました。空き地の真ん中に小さな神社がありました。
ケンと花子が神社に近づくと、そこは剣の神が祀られていることがわかりました。彼らは頭を下げて導きを祈りました。
祈りが終わって見上げると、神社の壁に美しい剣がかかっていました。その剣は草薙だった。
ケンとハナコは大喜びしました。彼らは剣を見つけたのです!彼らはそれに触れようと手を伸ばしましたが、触れた瞬間に剣は消えてしまいました。
彼らは混乱して辺りを見回した。剣はどこへ行ったのでしょうか?
突然、彼らは声を聞きました。「その剣はあなたのためのものではありません」とその声は言いました。
彼らが振り向くと、後ろに女性が立っているのが見えました。彼女は美しく、長い黒髪と鋭い青い目をしていました。
"あなたは誰?" ケンは尋ねた。
「私は剣の女神です」と女性は言いました。「私はあなたを長い間見てきました、そしてあなたが良い人であることは知っています。しかし草薙はあなたには向いていません。それはあなたが扱うには強すぎるのです。」
ケンとハナコはがっかりしましたが、女神の言うことが正しいことを知っていました。草薙は彼らにとって強すぎた。
「ありがとう」とケンは言った。「分かりました。」
女神は微笑んだ。「どういたしまして」と彼女は言った。「さあ、行って、自分の力を使って他の人を助けましょう。」
ケンと花子は女神に頭を下げ、背を向けて立ち去った。彼らは自分たちの冒険を決して忘れることはないと知っており、自分たちの力を他の人を助けるために活用することを決意していました。
彼らが森を歩いていると、人々のグループが盗賊に襲われているのが見えました。ケンと花子は剣を抜いて盗賊たちを撃退した。人々は感謝し、ケンと花子に一緒にいてほしいと頼みました。
ケンとハナコは人々と一緒にいることに同意し、村の再建を手伝いました。彼らは自分の力とスキルを使って他の人を助け、その後ずっと幸せに暮らしました。
ケンとハナコは森をハイキングしていたときに、空き地を見つけました。空き地の真ん中に小さな神社がありました。彼らはそれを調べてみることにした。
神社に着くと、そこは剣の神様が祀られていた。彼らは頭を下げて導きを祈りました。
祈りを終えて見上げると、神社の壁に美しい剣がかかっていました。彼らは草薙という剣についての話を聞いていたので、かなり興奮していました。
彼らはそれに触れようと手を伸ばしましたが、触れた瞬間に剣は消えてしまいました。
「一体何?」ケンは言いました。
「分かりません」と花子は言いました。「もしかしたら、それは私たちには向いていないかもしれない。」
突然、彼らは声を聞きました。「その剣はあなたのためのものではありません」とその声は言いました。
彼らが振り向くと、後ろに女性が立っているのが見えました。彼女は美しく、長い黒髪と鋭い青い目をしていました。
"あなたは誰?" ケンは尋ねた。
「私は剣の女神です」と女は言った。「私はしばらくあなたを観察していて、あなたたちが良い人であることは知っています。しかし、草薙はあなたには向いていません。それはあなたが扱うには強すぎるのです。」
ケンとハナコはがっかりしましたが、女神の言うことが正しいことを知っていました。草薙は彼らにとって強すぎた。
「ありがとう」とケンは言った。「分かりました。」
女神は微笑んだ。「どういたしまして」と彼女は言った。「さあ、行って、自分の力を使って他の人を助けましょう。」
ケンと花子は女神に頭を下げ、背を向けて立ち去った。彼らは自分たちの冒険を決して忘れることはないと知っており、自分たちの力を他の人を助けるために活用することを決意していました。
彼らが森を歩いていると、人々のグループが盗賊に襲われているのが見えました。ケンと花子は剣を抜いて盗賊たちを撃退した。人々は感謝し、ケンと花子に一緒にいてほしいと頼みました。
ケンとハナコは人々と一緒にいることに同意し、村の再建を手伝いました。彼らは自分の力とスキルを使って他の人を助け、その後ずっと幸せに暮らしました。

Replit に Python コードをエクスポート

 Replitにエクスポートするには、Replitのアカウントを作成する必要がありますが、ここでは、この部分は省略します。

 ここでは、簡単な例として「Sin、Cosのグラフを描かせるPythonプログラムを書いて」と指示して、Replitにエクスポートして描かせました。

 ただし、そのままでは正常に動作せず、次の式を追加しました。

import numpy as np

おわりに

 この記事では、2023年7月13日のGoogle Bardアップデートについて詳しく解説しました。

 このアップデートにより、Bardは検索クエリやコンテンツの文脈をより深く理解し、従来以上の高度な解析を提供できるようになりました。

 そして、Bardは40以上の言語に対応し、またEU全体やブラジルなどの地域でも利用可能となりました。

 さらに、ユーザーはテキストだけでなく、画像を用いてBardとの会話を楽しむことも可能となりました。

 Bardの能力はこれからも進化し続け、我々が情報を検索する方法を一層豊かにしてくれることは明らかであり、これからも見守っていく必要があります。

 以上です。

 

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