はじめに
Automatic1111 WebUIは、Stable Diffusionの画像生成AIを用いて色々なことが行えるアプリで、拡張機能から各種機能を追加できます。
前回には『Negative Promptを簡単に入力できる「Easy Negative」と画像のアスペクト比(解像度)を簡単に設定できる「Aspect Ratio Selector」』と言う機能を追加しましたが、今回は、Civitai からモデル、サムネイル、データなどを簡単に取得できる「Civitai Helper」について、深堀して解説したいと思います。
この記事を読むと次の疑問について知ることができます。
OS、機種などで説明の仕方が変わってくることがありますので、私の使用しているパソコン環境について載せておきます。
パソコンOS : Windows11 Pro
Windowsバージョン : 22H2
Automatic1111 WebUI のバージョン : 1.6.0
Civitai Helperのバージョン : 1.6.4
Civitai Helperとは?
Automatic1111 WebUIの拡張機能の一つに Civitai Helper があり、ユーザーが Civitai からモデル、サムネイル、データなどを簡単に取得するための便利なツールです。
Civitai は、Stable DiffusionというAIイラスト生成技術を使って作られたモデルやデータを共有・発信するプラットフォーム(Webサイト)です。
Civitaiにアクセスするには、アカウントを作成する必要がりますが、Civitaiでは、ユーザーが自分で作ったモデルやデータをアップロードしたり、他のユーザーが作ったモデルやデータをダウンロードしたりすることができます。
モデルやデータには、サムネイルやプロンプト(入力文)などの情報が付与されており、それらを参考にしてAIイラストを作成することができ、また、Civitaiでは、モデルやデータの評価やコメントなどのコミュニケーションも行えます。
Civitai Helperの概要
Civitai Helperは、Webブラウザ上で動作し、Civitaiのデータを取得するためのインターフェースを提供します。この拡張機能は、ユーザーが必要な情報を簡単に見つけることができるように設計されています。
1.モデルの取得
この機能を使用すると、ユーザーはCivitaiから直接モデルを取得できます。これにより、時間と労力を節約することができます。
2.サムネイルの取得
Civitai Helperでは、サムネイルも簡単に取得できます。これは、特定のデータを視覚的に識別するのに役立ちます。
3.データの取得
さらに、Civitai Helper はデータの取得も支援します。これにより、ユーザーは必要な情報をすばやく見つけることができます。
以下の表では、Civitai Helperの主な機能とその利点をまとめています:
機能 | 利点 |
モデルの取得 |
|
サムネイルの取得 |
|
データの取得 |
|
Automatic1111 WebUIの拡張機能であるCivitai Helperは、Civitaiから必要な情報を効率的に取得するための強力なツールです。
Civitai Helper のインストール方法
「Civitai Helper」を使うには、まずインストールする必要があります。インストール方法は以下の通りです。
- Automatic1111 WebUIの操作画面で「拡張機能」→「拡張機能リスト」タブを選択。
- 「読込」ボタンをクリック。
- 検索欄に「Civitai Helper」と記入すると、検索結果が表示されます。
- 表示された検索結果の「Stable Diffusion Webui Civitai Helperタブ, UI関連, オンライン」の横にある「インストール」をクリック。
- 「Installed into C:\A1111 Web UI Autoinstaller\stable-diffusion-webui\extensions\Stable-Diffusion-Webui-Civitai-Helper. Use Installed tab to restart.」と表示されたら、「インストール済」タブ⇒「アップデートを確認」を順にクリックし、「Stable-Diffusion-Webui-Civitai-Helper」の横にあるアップデート欄が「最新版」であることを確認。
- 「適用してUIを再起動」ボタンをクリック。
- Automatic1111 WebUIの画面のメニューに「Civitai Helper」のタブメニューが表示されます。
Civitai Helper の使い方
Automatic1111のWebUIは、その拡張機能であるCivitai Helperを使用することで、Civitaiからモデル、サムネイル、データなどを簡単に取得することが可能です。
この便利なツールは、ユーザーが効率的に作業を進める上で大変便利なツールです。
サムネイルの自動取得機能(Scan Models for Civitai)
Civitai Helperの一つの重要な機能は、サムネイルの自動取得で、ユーザーが一度に複数のサムネイルを取得するための手段を提供します。ただし、Civitaiよりダウンロードしたモデルに限ります。Hagging Faceなどからダウンロードしたものには対応しません。
「サムネイル取得」オプションには次のようなものがあります。
- Download Max Size Preview
Civitaiからダウンロードしたサムネイル画像を最大サイズで保存するかを設定するON/ OFFスイッチになります。この機能のメリットは、サムネイル画像の品質が向上しますが、この機能を使うと、ダウンロードに時間がかかったり、ディスク容量が増えたりする可能性があります。
- Skip NSFW Preview Images
Civitaiからダウンロードしたサムネイル画像のうち、NSFW(Not Safe For Work)と判断されたものをスキップするか(ON/OFF)を設定できます。この機能のメリットは、不適切な画像を見なくて済むことです。ただし、この機能を使うと、CivitaiにあるモデルやLoRAの一部が表示されなくなる可能性があります。 - Model Types
Civitaiからダウンロードしたモデルやデータを種類別に分類することができます。この機能のメリットは、モデルやデータを探しやすくなることです。
- ti
「Textual Inversion」という技術の略称です。モデルに対して、追加の学習結果を適用できるStable Diffusionの機能で、この追加の学習結果は、画像生成時に、事前に定義された特定のワード(トリガーワードと呼ぶ)で呼び出すことで適用できます。 - hyper
「Hypernetworks」という技術の略称です。数枚から数十枚程度の画像を使って、StableDiffusionに新しいキャラクターや新しい画風を学習させる手法。
- ckp
「Checkpoints」というデータの略称です。「Checkpoints」とは、Stable Diffusionという技術で使用するモデルのデータです。
- lora
「LoRA」という技術の略称です。「LoRA」とは、「Local Receptive Area」という意味で、画像の一部分だけを変化させることで、画像全体に影響を与える技術です。
- ti
Civitai Helperを使用して一括でサムネイルを取得する手順は次の通り。 既に、Automatic1111 WebUIを起動していることが前提で話を進めます。
- Civitai Helperタブをクリック。
-
「サムネイル取得」オプションを選択。ここでは、次のように設定。
- Download Max Size Preview : ON
- Skip NSFW Preview Images : OFF
- Model Types : ti、hyper、ckp、lora 全てにチェック
- 「SCAN」ボタンをクリック。 これにより、指定されたサムネイルの取得プロセスが開始され取得できます。
以上が、Civitai Helperを使用して一括でサムネイルを取得する手順です。
サムネイルを取得した結果、Automatic1111 WebUI画面の「txt2img」⇒「Textual Inversion」、「Hypernetworks」、「Checkpoints」、「LoRA」を順にクリックすることにより、今まで「NO PREVIW」となっていてサムネイル画像が表示されていなかったものが、Civitaiからダウンロードした「Textual Inversion」、「Hypernetworks」、「Checkpoints」、「LoRA」のサムネイル画像が表示されるようになります。
Civitai URLからモデル情報の取得(Get Model Info from Civitai by URL)
この機能は、「サムネイルの自動取得機能(Scan Models for Civitai)」で情報が取得できなった場合に、CivitaiのURLを入力することで、モデルの情報を自分のパソコンに保存することができます。
したがって、ほとんどがこの機能を使う機会がないと思いますが、利用する場合の手順は次の通り。
- 「Model Type」の下の欄にモデル情報を取得したいモデルを「ti、hyper、ckp、lora」の中から選択。
- 「Only Show Models have no Info」にチェックを入れれば、Model Infoがないモデルのみを「モデル」の下の欄から選択が可能となり、そこからモデル情報の取得したいモデルを選択。
- 選択したモデルの CivitaiにあるURLを「Civitai URL」の下の欄に記入。
- 「Get Model Info from Civitai」ボタンをクリック。
モデルのダウンロード(Download Model)
Civitaiからモデルをダウンロードすると共に「Model Info」やサムネイルなどもダウンロードできる機能で、その手順は次の通り。
- ダウンロードしたい Civitai にあるモデル(BRA6)のURLを「Download Model」の「Civitai URL(https://civitai.com/models/25494/beautiful-realistic-asians)」の下の欄に記入。
- 「1. Get Model Info by Civitai Url」ボタンをクリック。
- すると、「Model Name」、「Model Type」が自動で記入されます。「Sub-folder」にはドロップダウンリストから「/」を選択、「Model Version」はドロップダウンリストから「v6.0_113479」を選択。
- 「3.Download Model」をクリック。モデルのダウンロードには時間がかかりますので気長に待ちましょう。
- 「Done. Model downloaded to: C:\A1111 Web UI Autoinstaller\stable-diffusion-webui\models\Stable-diffusion\beautifulRealistic_v60.safetensors」などと表示されたら、モデルのダウンロードは完了。
- WebUIの「Checkpoints」をクリックすると、「beautifulRealistic_v60」のサムネイルが表示されており、BRA6のモデルがダウンロードされていることが分かります。
モデルの新バージョンのチェック機能(Check models' new version)
この機能は、前にダウンロードしたモデル(ti、hyper、ckp、lora)に新しいバージョンが存在するかどうかをチェックする機能であり、ある場合には、サムネ付きで表示されるので、そのモデルの中に表示される「Download into SD」のボタンを押せばダウンロードできます。
この機能を使うための手順は次の通り。
- WebUIの「Civitai Helper」タブをクリックし、「Check models' new version」内の「Model Types(ti、hyper、ckp、lora)」の全てにチェックを入れ、「Check New Version from Civitai」ボタンをクリック。
- すると、WebUIに今までインストールしたモデルがすべてチェックされます。「No model has new version」と表示されたら、新しいモデルはないということになります。
その他の設定(Other Setting)
この機能は、現在のAutomatic1111 WebUI のバージョン1.6.0ではうまく機能しないようです。
この機能の中で次のオプションの意味は次の通り。
- Open Url At Client Side
CivitaiのURLをクリックしたときに、WebUIのタブではなく、ブラウザのタブで開くかどうかを選択する機能です。チェックを入れると、ブラウザのタブで開きます。チェックを外すと、WebUIのタブで開きます。この機能のメリットは、WebUIのタブを切り替える手間が省けることです。 - Always Display Buttons
「Display Buttons」という機能を常に有効にするかどうかを選択する機能です。「Display Buttons」という機能とは、「Civitai Helper」のタブから、「Instance Prompt」欄に、Civitaiにあるプロンプトをワンクリックで入力できるようになる機能です。チェックを入れると、「Display Buttons」が常に有効になります。チェックを外すと、「Display Buttons」をクリックするたびに有効になります。この機能のメリットは、プロンプトを入力する際に便利になることです。
- Show Button On Thumb Mode
「Thumb Mode」というモードで「Display Buttons」の機能を表示するかどうかを選択する機能です。「Thumb Mode」というモードとは、WebUIの花札マーク(現在バージョン(1.6.0)では、このマークがなくなっています。)から選択できるモードで、サムネイル画像だけを表示するモードです。チェックを入れると、「Thumb Mode」で「Display Buttons」の機能が表示されます。チェックを外すと、「Thumb Mode」で「Display Buttons」の機能が表示されません。この機能のメリットは、「Thumb Mode」でプロンプトを入力できるようになることです。
まとめ
Automatic1111 WebUIの拡張機能、Civitai Helperは、Civitaiからモデル、サムネイル、データなどを簡単に取得するための便利なツールです。この拡張機能を使用することで、ユーザーは手間をかけずに必要な情報を取得することが可能になります。
Civitai Helperの利点と使い方のまとめ
1.簡単な操作
Civitai Helperは、Civitaiからのデータ取得を簡単にします。一度設定すれば、必要な情報をクリック一つで取得できます。
2.時間の節約
この拡張機能を使用することで、ユーザーは時間を大幅に節約することができます。手動で情報を探す必要がなくなるため、作業効率が向上します。
3.多機能
Civitai Helperは、モデルやサムネイルだけでなく、その他のデータも取得可能です。これにより、ユーザーは必要な情報をすぐに見つけることができます。
おわりに
今回は、Automatic1111 WebUIの拡張機能"Civitai Helper"について説明しました。
このツールを使用すると、ユーザーはCivitaiからモデル、サムネイル、データなどを効率的に獲得できるようになります。
特にStable Diffusionの画像生成AIを利用している方々にとって、このツールは大変有用で、時間と労力の節約に繋がるこの拡張機能を、ぜひお試しいただければと思います。
以上です。
コメント